2021年3月10日水曜日

中国映画を観て文化大革命のことを思い出す

 先日、百道の総合図書館の映画館で中国の昔の映画を2本観てきました。共に毛沢東が文化大革命を進めていたころの中国の内陸部の農村での話で、文革はわたしの青春時代に中国で起きた出来事でした。文化大革命の実態を知ったのは、その騒ぎがおわってからでした。短く書けば、そのころの世界の若い人たちの一部は文革に何か良いことがあるに違いないと希望を持っていたのに、現実は夢からは程遠く落胆したのです。

『標識のない河の流れ』(1983)
河で木材を運搬する筏の船上が舞台です。年代が異なる三人の男が、筏の上で生活しています。そのうち、ボスと若い男性には、別れた女性がいたのです。文革が農村の社会と人々の関係を破壊していく様子が背景に見えてきます。ボスの男が陸に上がって一人でうどんを食べていた時に、分けてくださいと寄ってきた貧しい女性が昔思いを寄せていた女性であったことがわかったシーンが哀しかったです。

『青春祭』(1985)
文革で都市部の女子の学生が農村に下放され、雲南省のタイ民族の集落で生活する様子が描かれます。文革の頃、女性は着飾ったりしないので地味な服で来たのですが、周囲の影響を受けて現地の女性のように綺麗に着飾ってから、皆と馴染んでゆく様子が描かれます。少数民族が暮らす山と河の自然は美しい。もちろん水道や電気はありません。洗濯は川でして、朝は井戸から水を汲んで運んでくる。

彼女たちはさまざまな農作業を引き受けています。女性の監督の作品ですが、人間と自然への優しい眼差しが感じられます。
 

女子の集団と男子の集団が集落の外れた道で出会った時に、それぞれ歌の上手い子が交互に歌い交わす光景があって、その時のそれぞれの子の笑みと歌が美しかった。

下放を終えて北京の大学生になった女性が何年か後にこの地を訪ねるのですが、豪雨による崖崩れで集落は無くなっていたのです。先の映画のラストは、河で豪雨になって筏が激流に流され、他の者はボスに促されて河に飛び込んで助かったが、船に残ったボスは見つからなかったところで終わった。

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