2014年3月4日火曜日

コピペはどこまで許されるのか?

Q: 論文の文章の中でコピペはどこまで許されるのですか?
A: 一文がまったく同一であれば「剽窃」と見なされます。

講義のレポートにおいても問題になることがありますが、卒業論文、修士、博士論文でも注意が必要であす。雑誌論文や書籍での剽窃になると命取りになります。昔、他人の投稿論文の査読コメントの中に「discussionのこの一文は○○の論文の中の一文をコピーしたものである。引用すべきである」という○○の論文を書いた査読者本人のコメントを読んだことがあります。とても良い文章だったので借用したのでしょう。初心者は論文の英文をコピーして参考にしながら自分の論文書きますので、そのままコピーしないように注意が必要です。すでに論文になっているのと同じ方法を用いたのであれば、Materials & Methodsで過去の論文を引用し、変更したステップだけを説明すればいいのです。

話は少し変わりますが、違法コピーに関して私たちは中国、東南アジア諸国のことを遅れているなと思っていますが、日本で違法コピーが無くなったのは最近のことです。私が学生の頃は、ラボの書棚にある洋書の多くは海賊本でした。海賊本屋さんが風呂敷包みを背負ってラボを回って来たのです。一ドルが360円だった時代の話です。欧米の研究者が日本のラボを訪問したときに、海賊本の自分の著書にサインを求められたという痛い話もあります。あるとき海賊本を持っていることは違法であると言われ出して急いで焼却したと思います。

コンピュータのソフトについても同様で、だれかがソフトを買うとみんなが違法コピーして使っていました。あるワープロ会社が大学で使用説明会を開催したところ、参加者全員が違法コピーを使っていることが判明したという話を聞いたことがあります。ソフト会社はコピーできないようにプロテクトをかけるのですが、コピーソフトはプロテクトを破ってコピーできました。ほんの少し前まで、安易な考え方が大学にも蔓延っていたのです。

今回のNatureのコピペ問題は、日本における過去の悪習がまだどこかに残っていたから生じたようにも感じます。卒論を書く時から、論文の書き方の作法をしっかり身につけておく必要があります。ボスが論文を書くようなラボにいると論文の書き方を学ぶことができません。博士号を取得するとは、このような作法の学びもしていることだと思います。