2022年1月29日土曜日

感染対策について思うこと(1)

日本でワクチン2回接種のデジタル証明が発行できるようになった時にはワクチンの有効性が低下している。役に立たない。欧州では、接種完了後9カ月以内に追加接種をしない場合、ワクチン証明書は無効になる。

3回目のワクチンにしても半年後には効果が低下するだろうし、イスラエルのように4回目を接種してもそれで終わりではない。

政府は相変わらず「まん延防止」を発令しているが、それによって感染が抑えられる効果は少ないだろう。飲食店の認証の判断基準もおかしい。無症状の感染者、濃厚接触者が通常と同じように行動していても感染がおこらないようにすることは可能ではないか。全員がN95/KF94マスクをして換気をすることである。

 留学生の入国を認めないことによる”国益”の低下を回復するには何年かかるのだろう。

マスコミは、感染者数の増減を毎日熱心に伝えているが、それによって国民が怖れ、行動が影響されることが日本の主な感染対策になっているのではないか。

抗原検査はPCRより著しく感度が低いが、ウイルス量が多い感染者を見つけ出すことはできる。自宅で短時間でできるという利点がある。薬局で無料で配布するなどして陽性者の隔離に役立てられるのに不足しているという。

 海外で各社の抗原検査キットを調べたところ、オミクロンを感度よく検出できないキットがあったという、日本で出回っているのは大丈夫だろうか。


2022年1月27日木曜日

long COVID: 新型コロナの後遺症

新型コロナの後遺症は深刻な問題です。普通の風邪やインフルエンザでは後遺症はほとんどありません。コロナに感染した人(中には無症状の人も)の30%ほどに後遺症がある。後遺症はしばらく経たないとわからないく、診断も簡単ではなく治療する方法もわかっていない。


イスラエルの3,000人のコロナ感染者を調べた結果が公開論文になった。
ワクチンを接種していた人は接種していなかった人と比べて、54%から68%、後遺症(頭痛、疲労感、筋肉痛)の症状が少なかった。2020年の5月から昨年の11月の間のデータだから主にデルタ変異によるものだろう。

 ワクチンによって後遺症が半分以下になる予防効果がある。感染を避けるのが賢明だ。おそらくワクチンの効果は接種後に低下してゆくのだろう。

オミクロン感染に後遺症があるのか、ワクチンが有効であるかはまだわからないが、少ないがあると思っていたほうがよい。

2022年1月22日土曜日

 Covid 希望的観測?

スペイン、英国、フランス、オランダがコロナ対策の制限を解除して普通の生活に戻ろうとしている。解除の仕方は国によって違うが、感染がピークを過ぎて、ワクチンの効果により重症者が少ないことを理由にしている。フランスはワクチンパスポートを使いながら2月から徐々に緩和してゆく。英国は一斉に解除することを考えているがそれは危険である。リバウンドが起こるかもしれないから。

これらの国では3回目のワクチン接種が40%を超えているのが解除のひとつの根拠だろう。ブースター接種によって抗体のレベルがかなり高くなることがわかっている(下図)のでオミクロンに対しても感染予防効果があることが期待される。

 しかし、その効果は次第に減衰してゆく。T細胞による重症化予防効果がどれだけ続くかはわかっていない。イタリアのデータによると重症化予防効果も半年で半分になるという。

4つのカラムは、左からwuhan, omicron, beta,deltaの変異ウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体結合力を縦軸で示している。左は2回接種後21日目、右は3回接種後1月後のデータ。ブースター接種後はオミクロンに対する結合は他の変異と変わらないほど高くなっている。ワクチンはファイザーのものでwuhanのウイルスの遺伝情報に基づいて作られている。

 
昨夏の日本のデルタ感染の時は2回目のワクチン接種の速度とタイミングによって8月末から感染が収まったが、現在の3回目接種のスピードは遅いのでオミクロンの波が落ち着くには時間がかかるかだろう。
 

オミクロンに感染する人が多く出ると思われるが、その免疫がどれほど感染を防ぐうえで有効で、これだけ持続するかも関わってくる。さらに新たに生じる変異ウイルスに対してどれほど有効かも問題です。

希望的な予測としては4月になれば日本でも欧州でも一旦は感染が収まる。

これまで、感染の波ごとに新しい変異ウイルスが広がったが、つぎのウイルスが出てくるには少し時間があるだろう。

オミクロン用のワクチンがもうすぐできるというが、できたときには不要になっているかもしれない。それより、どのような変異にも有効なワクチンの開発が急務である。

2022年1月10日月曜日

弱毒化したオミクロンでパンデミックは終わるのか?

 「オミクロン変異は普通の風邪ウイルスになったので何も感染対策など要らない。むしろオミクロン感染を広げることがよい。インフルエンザより死亡率が低い。マスコミは感染者数を毎日報道して恐怖心を煽っているだけだ」という人々がいます。

国民の恐怖心が過剰であるのは同感ですが、問題は正しい感染対策が取られていないことです。感染者がいてもエアロゾル感染が起こらないようにする対策が必要です。換気が悪い空間でマスクをしないで長い時間発声する状況を作らないことが肝要です。今の問題は換気をすると寒くなることです。

オミクロンの感染は上気道だけに留まり肺炎をおこさなく、誰もが数日で回復して入院する必要がないのであれば朗報です。オミクロンが広がることでデルタが駆逐されるからです。ただ、重症化の可能性がどれほど減少したかが重要です。感染者の急上昇は医療的にも社会的にも影響が大きいので季節性のインフルエンザとは状況が異なります。


新型コロナは風邪ウイルスにすぎないとの主張は当初からありました。デルタまでについては完全に誤りでした。オミクロンについてはこのように断定するのはまだ早急です。

弱くなったことを示す実験データも複数報告されています。ハムスターなどの動物を使った実験に加えてヒトの肺組織を使った実験もあり、肺でのウイルス増殖が弱くなっています。もし、これらの結果が正しければよいのですがやはり人のデータが必要です。

オミクロンの弱毒化は、オミクロンの感染が早く始まった南アフリカと英国の状況に基づいています。実際、これらの国では、人々の病状は軽くて入院が必要な人は少ないです。しかし、それはワクチン接種や、デルタウイルスに感染して獲得した免疫の働きによるのかもしれません。英国では90%以上の人が抗体を持っていました。南アフリカはワクチンの接種率は低いですが感染した人はかなり多いと思われます。

オミクロンの感染者は20歳代などの若い世代が多いです。重症化するのは高齢で肥満、糖尿病などの持病がある方が多いことがわかっています。若い人は重症化しにくいです。しかし、日本のワクチン接種率が80%の手前で横ばいになっていますので接種していない12歳以下の子供たちの感染は危険です。
 

カナダで新生児、幼児の感染が報道されています。おそらく普通の風邪のコロナウイルスに感染したことがなく、その免疫が働かないので重症化するかもしれません。ニューヨークでも12歳以下の子供の入院数が増加していると報告されています。日本では子供へのワクチン接種が行われていません。


死亡者が出てくるのはもうしばらく経ってからですから1月末のデータを見る必要があります。先日、南アフリカ、英国で死亡者が上昇しているというデータが出てきました。



パンデミックは今年で終わると述べている人もいますが、これも希望的観測であって根拠がありません。新たな変異ウイルスは世界中ですでに生じていてオミクロンに取って変わる機会を狙っています。例えば、デルタとオミクロンの同時感染によって両者のハイブリッドが生じています*。オミクロンが生じた想定外の系譜をみると、どのような変異が今後起こるかは予測できません。感染者が増えるほど変異の数が増えて行きます。

*これは遺伝子配列を決定する操作でのエラーによると思われ、データが削除された。2022.1.13



omicronはデルタなどの系譜からでなく初期のウイルスから派生している