2021年2月20日土曜日

ワクチン接種の準備不足と準備過剰

ファイザーは自社ワクチンの保存温度は-25°C to -15°Cでもよいというデータを得て米国のFDAに提出したという。ファイザーもモデルナもワクチンの成分はmRNAで同じである。モデルナは-20°C保存だったので、なぜファイザーのワクチンは超低温での保存が必要なのかと思っていた。mRNAと脂質のナノ粒子という組成であれば、-80℃でなければいけないというのは考えにくかった。

 
ファイザーのワクチンは-80℃保存といわれて、日本ではフリーザーの製造3社が急いで1万台を増産して、もうすぐ全国各地に配備されるところだという。

ワクチンはドライアイスを満たした保冷箱で到着する。そのままでも数日は温度が保たれるので日本各地に輸送するまでは問題ない。その後はドライアイスを補充すれば良いわけでディープフリーザーは必要ない。おそらく2週間以内には使い切るだろうからドライアイスだけで十分だろう。

注射器のトラブルは明らかな準備不足だったが、フリーザーは過剰な対応になってしまった。初めてことだがら仕方ないとも言える。

2021年2月19日金曜日

日本の男女不平等の”中世的”現実を世界に知らせる

 

 

このBBCのインスタの記事に5.8万の人が驚いていて、3649人が下記のようなコメントを書いています。日本は先進国だと思っていた人々が驚きを持って正しい認識をする効果が自民党幹事長の発言にあったわけだ。

What era does that country live in? Middle Age?? 
Stone aged mentality! 

Literally like this everywhere in Japan. Run by old men with no ideas and a fear of women having any.  

How generous! 

Respect their culture. Don't push Western liberal BLM views on Asia.  

And I always thought of Japan as advanced country 

Shutting off 1/2 of the brain power of your nation is not intelligent, it’s suicidal. Women have brains too.

2021年2月17日水曜日

「沈黙は共犯 闘う医師」

Eテレの「こころの時代」で2019年に放送された番組を配信でみることができた。これは是非多くの人に見てほしい番組です。

配信期限 : 2/21(日) 午前6:00 まで

婦人科医デニ・ムクウェゲさんが暮らすコンゴ東部はスマホなどの通信機器の部品に使われる希少金属の利権をめぐり武装勢力が殺りくや残虐な性暴力を繰り返す。治療してきた女性は20年で55,000人。なぜ紛争鉱物とレイプが結びつくのか。牧師の息子で敬けんなキリスト教徒でもあるムクウェゲさんが医師として生きることを決めた理由とは。闘いの日々とそれを支える信条や人生について伺う(2019年12月22日初回放送)

東ドイツ生まれのアンペルマン

 

共産圏の東ドイツのデザインは建物にしても暗くて映えなく、遊び心があるかわいいデザインなどないと思っていました。

ところが、マグデブルクでスーパーに行く道で、歩行者用の信号に男の子と女の子を見つけて見方が変わりました。アンペルマンは、1961年に東ドイツの交通局に勤めていた交通心理学者カール・ペグラウさんが考案しデザインしたものでした。女の子のアンペルフラウは東西統一後に出てきました。

統一後に東ドイツの信号機が西ドイツのものに取り替え始められたのですが、アンペルマン復活の市民運動がおこり、アンペルマンが生き残りました。そればかりか西でも使うところがでてきました。ベルリンにはアンペルマンショップがたくさんあり、いろんなグッズが売られています。

(オランダのユトレヒトには1箇所だけにミッフィの信号があります!)

2021年2月16日火曜日

旧東ドイツに学ぶ男女平等

以前は東ドイツ(DDR)だったマグデブルクに3年前に滞在していた時に学んだことのひとつは、東ドイツでは男女平等が西ドイツよりも幅広く実現されていたことです。ドイツで初の女性首相となったメルケルは東ドイツ出身の物理学者であったことが象徴的です。東は経済的に豊かでなく監視下で不自由な生活をしていたという印象を抱いていた私には新鮮な発見でした。

ネットで調べると東ドイツの男女平等に関する多くの記事が見つかります。今回「あごら」117号(1987)に掲載されていた「フェミニズム運動のない国 東ドイツの女たち専業主婦のいない国 医療も完全平等」を見つけて読みました。東ドイツから、議会議員と看護婦の方が来日して日本の女性団体の集まりで講演した内容を読むことができます。以下にその抜粋を掲載します。


(フェミニズム運動のない国 東ドイツ - 国立女性教育会館 でググるとPDFのサイトが出ます)

1949年に発効した私たちの最初の憲法は、男女は法の下において平等であると規定し、これに反する法律はすべて無効としました。

DDRの最初の憲法で原理として最重要視したのは、入閣の自由と権利の保障でした。その内容は、男女だけでなく、階層や宗教による差別をいっさいなくすことであり、少数民族の差別の撤廃も目指しました。

この問題の解決にあたって、私たちの国家と党は、三つの重要な原則から出発しました。

1 女性問題は、社会全体の発展の諸問題を解決することによってのみ解決することができる。
2 女性の解放をめぐる闘いの鉾先を男性に向けることはできないし、向けてはならない。なぜなら、それは男性の責任ではなく、旧来の社会体制の責任だから。
3 女性に対する援助は、特権を与えることではなく、母性に関係した社会的不利益をなくすためにある。

しかし私たちのDDRでも、女性のために多くの資金が投入されている反面、莫大な軍事費支出を余犠なくされています。私たちは軍事費を一マルクでも減少させ、その分、社会福祉に役立てたいと考えています。我が国の最大の使命は、ドイツの地から二度と戦争を起こさないということです。


このような出発があった結果として、東ドイツでは、1989年時点で現役世代の女性の91%が働いていたそうです。子供を預ける保育園は無料でした。統一後に西では東に倣って保育所が整備されたそうです。今でも、私たちは昔の東ドイツから学ぶことができると思うのです。東における男女同権は、労働力を上げるためであったという動機があったのですが。

2021年2月12日金曜日

(8) これからはワクチンも変異との戦い

英国、南アフリカ、ブラジルで見つかった変異体が注目されていますが、変異はコロナウイルスの感染が広がっている地域ではどこでも起こっています。英国型変異が見つかったのは英国のゲノム解析のコンソーシアムの迅速な解析の成果です。ゲノム解析の数が少ない米国や日本では感染様式に変化する変異が生じていてもすぐにはわからないかもしれません。
 

デンマークでは感染者の半数ほどをゲノム解析しています。感染者のウイルスは変異型に置き換わっているのに感染者が増加していていないという見事なコントルールです。

 
解析結果を早くオープンにして感染状況と照らし合わせることが必要です。日本では英国の変異体が見つかった地域を集中的に調べているようですが、その結果が出る頃には別の地域に広がっているかもしれません。

英国型変異
B.1.1.7の配列がオープンになった時点で、プライマーを設計して変異を見分ける条件を設定するのは1週間ほどでできたはずです。PCRでスクリーニングして変異型が確定されたサンプルのゲノム配列を決めて確認すればよいでしょう。サンプリングしてからゲノム配列を決めるまでに何日がかかるかが重要です。

 

 追加  2021.02. 18

Pfizer/BioNTechとModernaのワクチンは、英国と南アフリカの変異ウイルスの対してもおそらく有効であることを示す論文が出ました。

2021年2月11日木曜日

ジェンダー格差の問題を考える

今回の差別発言を報じた欧米の新聞のタイトルです。


Meetings with women 'take so much time,' says Japan Olympics chief
Tokyo Olympics Chief Suggests Limits for Women at Meetings
Tokyo Olympics chief sparks sexism row after ‘annoying’ women remark
Tokyo 2020 president sparks backlash after suggesting women talk too much in meetings
Tokyo Olympics president Yoshiro Mori causes stir with sexist complaint


このように世界的に話題となりましたが、当人は発言を撤回、謝罪したそうで、ほとぼりが冷めるのを待つのかと思いましたが辞任するようです。日本は変わるのでしょうか?若手の女性がなれば希望はあったでしょうか?簡単には変わらないと思います。


森さんも自分の正直な発言の何が問題なのかもちゃんと理解できていないかもしれません。そもそも問題の委員会が意見を出して議論して決める場ではなく、既に根回されたことを形式的に承認するだけだったかもしれません。そのような場での女性の意見は邪魔でしかなかったでしょう。

この問題は森さん個人の問題だけではなく、深刻な男女不平等が蔓延る日本の問題です。日本の男女平等についての世界ランキングは下から数えるとすぐに出てきます。その世界経済フォーラム(WEF)の報告資料をざっと読んでみました。とてもよく出来た文書で、日本の状況の深刻さがわかりました(Global Gender Gap Report 2020)。国ごとの評価も書いてあり日本は改善があまり見られないという指摘は痛いですね。

今回の森発言はWEFのランキングからすれば驚く発言ではないでしょう。政治家から「女性に参政権を与えたのが最大の失敗だった」という発言が出てくる国です。その世代の多くの政治家の考えを改めさせるのはまず無理だと思います。問題は若い世代が古い日本の考えからどれほど自由になっているかです。

今回の騒動は、男女不平等の日本の深刻な現実を明るみにしたという意義があります。日本は男女平等の現状を変革して行くには長期の計画が必要でしょう。そして、足元からの行動が必要ですね。我が家ではほとんどの家事を平等に負担しています。

2021年2月4日木曜日

(7) マスクの効果について

昔、日本からの飛行機が欧州の空港に到着して日本人の団体が降りてくるとマスクをしている人が何人もいて異様な雰囲気だった。

 欧米で一人がマスクをして歩いていると、人々は避けて通るでしょう。なぜならマスクをしていることは、その人が危険な病原菌に冒されていることを意味するからです。なのでマクスをしている人は一人としていませんでした。

欧米人が日本に来て不思議に思って尋ねることの一つは、なぜ皆がマスクをしているのかでした。特にインフルが流行っていた季節はほとんどの人がマスクをしていました。マスクをする習慣があったのは、韓国、中国などでした。 

 

ところが今や、世界中の人がマスクをしています。おそらく初めてするマスクにはかなりの抵抗感があったと思います。マスクをすることは、人格の否定、弱さとも考えられました。実際、反マスクの集会、デモが欧米でありました。反マスクが左右の極端なイデオロギーとも結びついていたのです。また、マスクをすることによって感染は防げないという”科学的”な主張がなされた国もありました。日本でも”専門家”と言われる方が一時そう言っていました。

欧米では模様がある手作りの布マスクをしている人が多いです。たぶんそれは、衣服の感覚でマスクを着けているからでしょう。

さて、マスクをするのは、飛沫、エアロゾルをマスクでトラップして外に出さないためと同時に、他人の飛沫、エアロゾルを吸い込まないためです。その効率はマスクの材質と着装の仕方によって変わります。

今年になって感染力が強い英国の変異体のウイルスが問題になってきて、ドイツは医療用のN95/FFP2マスクの使用を義務づけることを決めました。最初はバイエルン州が決めたのですが、ドイツ全土で義務付けられ、スーパーなどの店、公共交通機関での着用が義務付けられました。違反すると約3万円の罰金まで設けています。フランス、オーストリアもそれに倣うようです。

ドイツでは、FFP2マスク6枚を2€で買えるチケットが各世帯に送られてきたり、生活困難者には無料で配布するそうです。 

 

現行の日本の濃厚接触者の奇妙な定義によると、感染者の近くにいてもマスクをしていたら接触者になりません。これは、FFP2マスクをしていれば正しいかも知れませんが、通常のマスクではエアロゾルを吸い込む可能性はあります。

日本では東京のすし詰め状態の電車で感染が起こっていないといわれています。しかし、通勤列車の車内で感染が起きたことを証明するのは困難です。車内に無症状の感染者がいたとします。その隣に長時間立っている人が、感染者のマスクから漏れ出た呼吸によるエアロゾルをマスクを通して吸い込む可能性があることは否定できません。車内で行われている換気による空気の流れがどのようになっているかがひとつの問題です。

感染経路が不明な人が半数近くいますが、通勤の車内、スーパーなどでの感染があるからでしょう。マスクの材質、正しくかけているかも問題です。呼吸、発声による生じるエアゾル量は個人差が多いようです。


 

2021年2月2日火曜日

(6) 新型コロナの感染経路の誤解

新型コロナの感染について多くの人々が誤っていることがあります。頻繁に手を消毒し、いろんなところを消毒するために拭いている。一番酷いのは噴霧器で消毒剤を撒いています。

これは、接触感染を怖れての対処ですが、新型コロナは接触感染はまれにしか起こりません。

手を消毒し、人が触れるものを消毒しています。消毒剤の噴霧消毒、消毒剤で机や椅子、ドアノブなどを拭いています。それに要している人々の労力、消毒液は膨大です。しかし、その努力のほとんど無駄であると私は思っています。日本の専門家も、WHOも間違った指針を出していました。

WHOが空気感染の”可能性”を認めたのは最近です。 

1月29日のNatureにも以下の解説が載っていました。 

COVID-19 rarely spreads through surfaces. 

So why are we still deep cleaning? 

新型コロナウイルスは接触によって感染することはほとんどないのに、なぜ人々はいまだに消毒し続けるのか?

新型コロナの感染は、息、発声によって発生するエアロゾルによるものがほとんどです。このことは、昨年の3月頃からの感染例の報告を見ていれば明らかでした。

息、発声、咳によって様々な大きさの微粒子が放出されますが、すぐには落下しないほど小さな粒子を含むエアロゾルは空気中に漂い続けます。エアロゾル中のコロナウイルスは、何時間も感染力を保っています。エアロゾルを吸い込むと、すぐに肺の奥深く肺胞に達することができます。

締め切った部屋で合唱サークルの練習を行っていて大規模に感染した事例が昨年の前半期に多数報告されていました。歌う時に声帯から生じるエアロゾル量は膨大で、また吸い込む空気も多いので、無症状感染者がいれば容易に感染が起こります。

肺胞の細胞には、ウイルスが侵入の手がかりにするACE2が細胞膜に発現していますので、細胞内に侵入して感染が始まります。大きな飛沫粒子は肺まで達しないかもしれません。嗅覚器、味覚器にも侵入できる細胞があります。 嗅覚器、味覚器への感染は、外気から直接なのか、肺で増えたウイルスが感染するのかはわからないでしょうね。

接触感染は、手についたウイルスがまず、口や鼻に入らないといけません。口に入ったウイルスは唾液と一緒に食道から胃に入ります。つまり、普通は肺には行かないのです。もしウイルスが胃のなかでも不活性化されないと小腸の細胞に侵入口を見つけて感染が起こります。下痢の症状だけの人も報告されているのでこの状況だと思われます。

幼児は何でも口に入れるので接触感染が起こる可能性があります。腸内でのコロナウイルスの滞在期間は長いようです。

感染が始まったときに、専門家が手の洗い方をテレビで実演していましたが、あれは無菌操作の実験をするときの洗い方で、私たちの日常生活では必要ありません。 

もうひとつの問題は、過剰なアルコール消毒です。皮膚の常在菌は皮膚を守っていますが殺菌でその細菌が死滅し、皮膚あれの原因になります。さらに度重なる殺菌は、細菌の生態系を崩し、耐性菌を生み出す可能性がああります。