2022年4月30日土曜日

正解を選択する日本の試験、考えて文章を書くフランスの試験

日本人の漫画家と結婚したAFP通信特派員のフランス人女性が書いた本を読んで、なるほどど面白かった。

西村・ブペ・カトリーヌ著「不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人 心が自由になる生き方のヒント」大和書房 2017

日本がフランスやドイツなどと違って一番便利なのは24時間開いていて、どこにでもあるコンビニである。海外では、特に休日や夜に食べるものを買うのに苦労する。

国と国を比較した本は数多くあるが、この書物は良質な内容である。差異をことさら強調するのではなく、違いを認めあって、他国を参考にして自国をよくしていきたいという姿勢がある。

フランスでは見ず知らずの人にも話しかける。メトロで隣の人が読んでる本が面白そうだと思ったら迷わず声をかけて感想を訊ねたりする。

そのほかに以下のことが書かれている

明日の天気を気にする日本人、その日暮らしのフランス人
日本では信じられないほどたくさんのビジネス書が売られている
マニュアルが上手な日本人、アドリブが得意なフランス人
バカンスのために働くフランス人、ちゃんと働くために休む日本人
有給休暇は病気につかわないフランス人
ストライキばかりのフランス人、退職まで一度もストライキしない日本人
本当にすごい日本の宅急便、本当に届かないフランスの荷物
外国人に慣れていない日本人、移民が常識のフランス人
正解を選択する日本の教育と試験、答えがなくて議論して創造性を育むフランスの教育と試験
上司の年齢は関係がないフランスの会社、年功序列の日本の会社
結婚するのが目的の日本人、恋愛できればなんでもいいフランス人
口癖が出会いがないの日本人、偶然の出会いを引き寄せるフランス人
古い家ほど人気があるフランス
お金があっても心配する日本人、お金がなくても気にしないフランス人
集団が得意な日本人、何よりも個人が先にあるフランス人
政治が好きなフランス人、政治を語らない日本人
ロボットに愛情を感じる日本人、ロボットをものととらえるフランス人

日本のよい点は、完璧主義で、誠実で、清潔で、安全、サービスは正確で信頼できて便利。

問題だと思うことは、
コミュニケーションの希薄化、人と人が心を開いて会話しないこと
学校の試験方法
教育費が高い 親の経済力で教育が不平等になること
保育所の充実
養子縁組が少ない
いまだに被災者が仮設住宅に住んでいるのはおかしい
発言の自由 報道の自由 表現の自由

2022年4月23日土曜日

コロナウイルスSARS-CoV-2の変異と進化


このグラフは、武漢で新型コロナの感染が始まってから(円の中心から外方向が時間軸)、このウイルスがどのように変異していったかを示しています。世界中の感染者から採取したウイルスの決定された遺伝子配列に基づいて丸をプロットしています。色の違いは変異を生じたウイルスが感染力を強めるなど性質が変化した場合です。

ウイルスが増殖するときにある確率で変異が生じています。同じ色の点は変異が生じてもウイルスの性質に変化はなく同じグループに属すると考えられることを意味している。

円の右側を見ると、オミクロン21K(BA.1)と21L(BA.2)の2つの型の広がりがわかります。21Kのオミクロンが現在、世界中で広がっています。オミクロンの起点をみると初期のウイルスから突然出現していますが、他の型のウイルスは系譜の流れから生じています。

デルタとオミクロン以外のいくつかの変異ウイルスは広がらないで消えています。下の図はその変遷をわかりやすいです。これからどのような変異ウイルスが出現するかは予測ができません。

 図は、https://nextstrain.org/より。クリックすると大きく見えます。

2022年4月22日金曜日

long-COVID 脳の後遺症

世界が「withコロナ」に向かって動き始めている。「コロナを終わりにしないと日本に未来はない」という声があがっています。

欧米の多くの国ではほとんどの感染対策を無くしているのに、なぜ日本はできないのか。 テレビに出てくるウクライナやポーランドの映像ではだれもマスクしていないじゃないかと。

 確かに、経済活動にしても、旅行、観光にしてもこのままでは良くないし、対面での交流を回復したいと誰もが願っている。もう限界だと思っている。

問題は過剰な怖れを人々が抱いていることと、正しい感染対策が行われていないことである。例えば、多数の人が歩いている場所でなければ外を歩く時にマスクは必要でない。対策でもっとも重要なのは換気である。人が集まる場所での換気設備の導入にお金を使うべきあり、そのことを行った国もある。

そして、終わりにできない重要な問題がある。withコロナでは一定の人々の後遺症という健康被害が生じ続ける危険性がある。その治療法はまだわからない。

脳の容積をスキャンで調べた最近の論文の日本語の雑誌解説記事は客観的なデータだ。わたしたちの脳の容積は加齢と共に年に少しづつ減少している。ところが、新型コロナに感染した人を調べると0.1%から2%も減少していた。その変化が脳に機能にどれだけ影響するかであるが、確かに調べてみると差がある。

このデータはデルタ変異についてでオミクロンについてはまだわからない。オミクロンでもデルタのように味覚や嗅覚障害の報告が少ないもののあるので、脳への影響も無視できないだろう。

2022年4月13日水曜日

sneakyなウイルス

ウクライナの状況を日々見聞きしていると時があまりにも早く流れてゆきます。

新型コロナの今後が見えにくくなっています。ひとつは、規制があまりにも長く続いたので人々が解放されたいという願いをこれ以上我慢できないことにあります。欧州ですべての規制を撤廃して、誰もマスクをしていない映像も多く目にします。コロナは普通の風邪になったので検査もしなく共存してゆくという。

ある英文記事で、"SARS-Cov-2 is a sneaky virus."という文を読んだことがある( SARS-Cov-2は新型コロナウイルスの正式名)。sneakyとは「こそこそする 卑劣な」という意味であり正しいと思う。

SARS-Cov-2は言います。

「君たちはやっとぼくたちことがわかったきたね。ぼくたちは普通の風邪ウイルスだったのよ。いろんな対策はすべてあまり意味がなかったんだ。日本人なんてまだみんなマスクをしててバカじゃないの。ワクチンは企業の金儲けのためだったんだよ」

これを鵜呑みしてよいのだろうか?

人口あたりの7日平均の死亡者数の2022年初めからの変化