2011年2月18日金曜日

希望よ 走れ

夜中に目が覚めてイヤホンをつけるとなつかしい歌声が聞こえてきた。NHKのラジオ深夜便の歌、山崎ハコの「あなたの声」だった。深夜にふさわしい歌だった。

ハコの声には色がある。しかしその色は多色であって言葉で表すのは難しい。今から36年前、17歳の時に「飛・び・ま・す」でデビューした少女が、その面影を残して今も歌っている。彼女の歌はいつも心の底から溢れ出てくる叫びだった。彼女自身は明るい人であるが、歌のなかでハコは悲しみや絶望を歌うことが多かった。そのような心の闇をだれもが持っているはずなのに、わたしたちは日常生活では他人に見えないように隠している。しかし、ハコはそれを包み隠さず歌っていた。

若いときに歌っていた人の中には、もう歌わなくなった人や、懐メロ的に歌う人、そして今もかわらず歌い続けている人もいる。山崎ハコは商業ベースから離れて中断を経験しつつ、人生の歩みとして歌い続けている。

そして、いま、暗い夜にあって、過ぎ去った昔を振り返りつつも、選んだ今の生き方を受け入れ、そして愛して、未来の希望を見据えている。「夜の空を 希望よ 走れ」という願いは少し切ないけれど、確かにあたたかい。

2011年2月16日水曜日

自動改札機がないドイツ

東京でも福岡でも複数の交通機関で1枚のICカードが使えるようになり切符を買う手間がなくなり便利になった。しかし、しっかりと料金を支払わされている。東京から帰りの飛行機の中で、ふとドイツのことを思いおこして書いてみた。

ドイツの切符のシステムは基本から日本と異なっている。 まず、駅に改札がない。ないというのは正しくはなく、プラットホーム、バスの車内にある機械に切符を挿入して自分で刻印しなければならない。1回乗車券のほかに回数券のようなものがあり、ゾーンに応じてポイントを数えてそこに刻印する。

改札ゲートがないので自転車の持ち込みも楽である

普通の一枚切符は刻印して1時間は有効なので、何度も乗れるというシステムは便利である。すばらしいと思うのは複数人数用の切符で、同じ行程をゆく場合は1枚の切符を買えばよい。友人や家族での移動によい。 1回乗車券は日本と比べると高いが、割引料金の種類が多い分得した気分になれることが多い。

日本で自動改札機が目の前でバタンと閉まったことがある。カードの読み取りが上手くいかなかったのである。早い速度で通過しようとしていたのでかなりの衝撃があった。それ以来、改札機を通ることが少しトラウマになった。自動改札機がないドイツに来るとほっとする感じである。

ドイツでは正しい切符を買って乗車することが自己責任とされている。もちろん無賃乗車をすることも可能であるが、時々ある検札で見つかれば、いかなる理由を述べたとしても、たとえ観光客であっても、高い罰金を支払わなければならない。検札する人は私服で、挟み撃ちにして始めるので逃げることはできない。私はロシアのバスでそう言う目にあったことがある。切符を持っていても刻印を忘れていたら言い訳はできない。だれも刻印していないから大丈夫と思ってはだめだ。現地の人はパスを持っているので何もしないのである。

ミュンヘンの空港から鉄道に乗る時におもしろいことがあった。ホームの自販機の前でドイツ語の解読をしていると、空港駅についたばかりの人が切符を見せてこれを半額で買わないかという。それは1日券で、あるゾーン内の乗り放題の切符だった。最初は何かあやしいのではないかと疑ったが、かしこいやり方と気がついて買った。売った人も買ったわたしも半額で済んだわけである。もちろん、正規の片道切符より安い。1日券は一人の人が使わなければならないという規則がないことを確認してはいないが、賢いドイツ的?節約法ではないだろうか。

長距離の移動はドイツ新幹線ICE(Intercity-Express)である。(長距離の鉄道駅では欧州のどこの国でも改札ゲートがない。ユーロスターはあったが。)日本でインターネットで予約購入し送られてくるPDFファイルをプリントアウトして持参して乗車すればよい。いわゆる早割は日本の新幹線の料金と比べると驚くほど安い。少しわかりにくいのは座席の指定である。座席の上に掲示に区間が表示されている場合は指定した人が来ることがわかるので、その区間以外、あるいは指定がない席に座ることができる。

さて、ドイツの古都 Würzburg バスの車内のアナウンスは小学生の子供の声だった。「次の停車は○○です。」停車ごとにちがう子供の声で終点は全員が言う。とてもかわいくて和みます。