2021年9月23日木曜日

ポルトガルのクロワッサン



初めてリスボンへ行ったとき滞在していたベレンの簡素なホテルには朝食がなかったので隣にあるパン屋さんで飲み物とパンのセットを食べていた。パンを選んでハムとチーズを挟んでくれる。偶然選んだパンが美味しくて毎日食べていた。

宿泊していたホテルが歴史的に有名な場所にあることに気がついたのは着いて数日後だった。エッグタルトの発祥店で、いつも観光客が並ぶPastéis de Belémはすぐ隣で、その向こうにジェロニモス修道院があることがわかったのは、撮った写真を知人に送ってPastéis de Belémの創業年1837の数字が歩道の石畳にあるのを教えてもらった時だった。


2度目の滞在で、リスボンのアパートメントに住んでいたときは、いつもその黄色のパンをパン屋さんかスーパーで買って来て食べていて、ドイツに戻る時には買い込んでいた。

そのパンの正体がしばらくわからなかったが、昨夜「ポルトガル・パン」で画像検索して見つけた。クロワッサンだったのだ。フランスのクロワッサンとはまったく別物で、しっとりしていて甘く黄色なのでクロワッサンとは思わなかった。三日月の形とは違う。

ポルトガル語のレシピを見つけて和訳して焼いてみたが、まだホンモノには近づけない。

2021年9月13日月曜日

入口の体温測定でコロナ感染者を見つけることはできない

新型コロナウイルスに感染した人の半数以上は無症状で発熱しません。 さらに発症する場合でも、発症前から他人を感染させるウイルスが増えています。 そして、感染の多くはこのような無症状の感染者から起きていることがわかっています。一方、入院が必要であった感染者を調べて高熱があったのは30%であったという報告があります。従って、発熱でコロナ感染者を効率よく見つけることはできないのです。発熱があってもコロナによるとは限りません。

加えて、平常体温は人によって異なり、時間、運動の後かどうかなどによって変化します。日本人では平熱が35度台、37度台の方もいます。欧米では37度台が多数です。さらに、顔面の非接触体温計でどれだけ正確に体温測定ができるのかも問題です。ある500人の測定例では、80%の人が実際より低い値でした。自分で決まった時間に接触型体温計で体幹の温度を測定し、自己管理することが大切です。最近のスマートウオッチには体温測定機能がありますので常時モニターできます。


なぜ体温測定がどこでも行われているのかといえば、それをすることによって偽りの安心感を得ようとしているからとしか言えません。どこでもやっているので、やらないと感染対策をしていないように思われるからでしょう。いたるところでやっているので無意味であるとは言えなくなっているのかも知れません。

2021年9月11日土曜日

『白貂を抱く貴婦人』


2018年のドイツ滞在中に学会に参加するために10年ぶりにポーランドの古都クラクフを訪れた。学会が終わって、レオナルド・ダ・ヴィンチの『白貂を抱く貴婦人』をもう一度、観たいと思って調べてみたら、旧市街の外のクラクフ国立美術館に展示されていた。行ってみるとこの絵を見るためには別料金が必要だった。暗い一室に特別に展示されていて多くの人がいた。

2000年に初めてクラクフに行った時、この絵はチャルトリスキ美術館に展示されていた。その美術館は旧市街の古い建物で、中は狭くてダビンチの作品は普通に並べてあって人もほとんどいなかった。

さて、国立美術館で他の絵を観ていたら懐かしい絵画があった。院生時代、1979年に東京にいた時に「ポーランド国宝絵画展」に出かけた時に一枚の絵葉書を買ってそれ今も持っている。パンタレモン・スジィンドラの「湯浴みをする少女」だった。しかし、その名前で検索してもその画家が出てこない。日本では知られていないようだ。そこで、絵葉書に書いてあった1846-1905という年代で検索して、ポーランドの画家、Pantaleon SZYNDLER のBathing girl, 1885であることがわかった。その絵に42年ぶりに会うことができた。

2018年にダ・ヴィンチの絵が国立美術館にあったのは、チャルトリスキ美術館の改装工事のためだった。10年の工事が終わり2019年に戻ってきたそうだ。今、見るためには予約が必要だという。

1枚の絵画でも、どのような時にどこで観たかによって記憶される思い出が違ってくる。

2021年9月10日金曜日

『リスボンに誘われて』『芋煮会』とか


💫
小説の『リスボンへの夜行列車』を映画化した『リスボンに誘われて』Night Train to Lisbon (2013)を観ました。リスボンがでてきて懐かしかったです。ポルトガルの独裁政権の時代の抵抗運動に関わった若者たちの過去を辿った硬派の作品。話はスイスのベルンから始まるが、ベルンの川と橋も歩いたことがある場所だった。

アントニオ・タブッキ 須賀敦子訳「供述によるとペレイラは」を思い出した。

リスボンの出てきた場所はどこだろうと探していたら、マニアックな人がいてGoogle Mapのストリートビューなどを駆使してすべて調べ上げたサイトがあった。

しかしその人も見つけられなかった場所があって、コメントした人がその場所を見つけて追加されていた。ひとつはリスボンではなく近くのシントラの教会、ポスターに使われていた駅はアムステルダム中央駅だった。


💫 アマゾンプライムで観ていた「世界の車窓から」に、ドイツのICE(新幹線)が出てきて乗客がランチを食べるところで、簡単なサンドイッチとブドウとリンゴがそのまま出てきてドイツだなあと思った。編み物をしてる人もいた。



💫 山形県知事は「芋煮会を自粛するよう」に求めた。家族単位や4人以下は容認するという。芋煮会!なつかしい。

仙台に行って初めて知った東北地方のお花見と同格の行事である。大学の研究室とかサークルとかいろんな集まりで、山や河川敷に行って大きな鍋で芋煮を作って食べる秋の恒例行事であった。ローカルな行事として昔から続いているのがおもしろい。


💫 感染時に無症状であっても、血栓、心臓の障害、呼吸困難や頭がぼんやりした病状を訴える人がいることがわかってきた。後遺症の症状を訴える人の3割は無症状だったという報告がある。これは子供でも一定数いるという。これまで、このような人を調べることが少なかったのでわからなかったのである。

💫 キューバではなんと2歳以上の子供に新型コロナワクチン接種を始めたそうだ。ワクチンは自国製である。日本は12才以上だけになっている。他の多くの国でも子供に対する接種には慎重な意見が多い。日本はノ
バックスのワクチンを購入するそうだが、これは従来のタンパク質のワクチンだから副作用は少なく、12才以下の子供にも接種できるかもしれない。



2021年9月9日木曜日

住む場所で生死が分かれる

東京都の墨田区は第5波の8月における死者、重症者がゼロだったという。

これは墨田区の西塚至 保健所長が昨年から医療機関と話し合って医療体制を整えていたからである。更にワクチン接種を年齢の高い方から行いスピードも早かったことも効いているようだ。この保健所長が、国のコロナ対策のトップだったらと思う。

デルタ変異コロナウイルスの感染拡大とワクチン接種のスピードは時間の競争だった。国によるワクチンの確保と接種のスタートが、あと、ひと月早かったら第5波はこのように大きなピークにはならなかっただろう。オリンピックを開催するのであればワクチン接種を急がねばならないことは誰にもわかっていたはずだ。

コロナ対策は国によっても異なっている。中国は地域封鎖と全員のPCR検査と隔離によって感染の拡大を防いだ。台湾、ニュージーランド、オーストラリアは水際対策を厳格に行って感染拡大を防いだ。一方で、マスクもロックダウンもしないスウェーデンのやり方が話題になった。

日本は空港における対策が厳格ではなかった(抗原検査)ために、変異ウイルスの侵入を防ぐことができなかった。さらにPCR検査の拡充ができなかったことは致命的だった。

日本はこれまでに今後の医療体制を検討して整備する必要があったが、何の準備をしたのだろうか。サッカーチームの監督は負けが続いてその能力に疑問符がつくとすぐに更迭されるが、国のコロナ対策の責任者は5回失敗しても居座っている。 

県によっても状況は異なり、和歌山、島根、鳥取、広島は適切な判断ができた。

要するに、選挙で適切な為政者を選ばないと私たちの生死にも関わるということである。ドイツのメルケル首相はこのように国民が死んでゆくのは耐えられないと心から訴えました。日本の政治の責任者は国民の死を、自宅で医療も受けられずに孤独の内に死んだ方々を悲しんでいるのだろうか。

 

2021年9月3日金曜日

安心はできないが感染者数が下がってきた理由を考えてみた

 

複数の数理モデルの予測では8月の終わりに感染者数がピークアウトするとなっていたが、それがほぼ当たっているようです。

全国の感染者数はこの1週間ほど減少傾向にあります。PCR陽性率、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」の数値も下がってきています。その理由を考えてみました。感染者が減少してもすでに感染している人が恢復するまでに2週間はどを要しますので逼迫している医療状況はしばらく変わりません。死亡者数は増加しています。

感染者減少の理由のひとつはワクチン効果ではないかと思います。9月2日のワクチンの2回接種率は高齢者で87%、全体で 47%です。8月1日は、それぞれ72%と 27%でした。

次に学校、大学の夏休みによって子供たちと若い人の間の感染が抑えられたことです。最後に、8月に入って自宅療養者が急に増大し、感染し重症化しても病院の空きベッドがなくて治療を受けられないという恐怖感による自粛が広がったことです。この3重効果によって感染者数が低下してきたと思います。今後重要なのは、下がり切らない状態で緊急事態を解除すると再び次の波がやってくることです。
 

9月に入り夏休み効果が弱まることで減少のスピードが遅くなる可能性があります。家族内感染がおこると深刻です。子供の感染を防ぐことが重要です。

さらに、7月までにワクチン接種を終えた高齢者の免疫が徐々に低下してゆきますから、11-12月頃から高齢者の感染者が増えてくるでしょう。そうなると3回目のワクチン接種のスピードが問題です。免疫の低下速度は個人差があり、高齢になるほど早いです。3回目の接種後に免疫がどれだけ保たれるかはまだわかっていません。ただ、重症化を防ぐ免疫は長く保持されるようです。