2021年5月21日金曜日

フライト中、および隔離ホテル内で感染が起きたニュージーランドでの事例

CDCのEID Journalの報告がNewsweekで紹介されている。

昨年9月の事例で、多くの研究者が時間をかけて解析した結論であり信頼性が高いと思われる。


✨ フライトの乗客は少なく1列おきに座っていたが、一人の感染者の1列空いた前後の人が感染していた。感染者のウイルスの遺伝子配列を調べているので感染が起こったことは確かである。
 

前にインドから香港のフライトでも列を越えて感染が起こっていた例を紹介した。キャビンの空気は数分で全交換されていても、そしてマスクをしていても、また短時間のフライトでも感染が起こる。
 

隔離中のホテルで接触がない隣部屋の人の間で感染が生じていた。PCR検査のために医師が来た時に、開けたドア付近でサンプリングしている。感染者の部屋が廊下よりも気圧が高くなっており室内の空気が外に出て、続いて隣の部屋を開けた時に隣人が廊下の空気を吸い感染が生じたと、監視カメラの映像から推測されたという。

両室の排気あるいは排水のダクトがつながっていて、感染者の呼気のエアロゾルがダクトを通じて隣室に移動した可能性があるが、それを検討したかは書かれていない。
 

離れていても空気感染が起きるわけで、日本で感染の半分以上の経路不明のケースはこのように起きているかもしれない。

満員電車のなかにスーパーキャリアーが乗車していれば周囲で感染はおこるだろう。そこで感染した人はどこで感染したかわからない。

 

この報告は昨年の9月の事例なので感染力が強くなった変異ウイルスによるのではない。

 

ニュージーランド(Aotearoa)の水際対策が徹底していることがよくわかった。隔離の間のPCR検査では陰性だったが、市内に出てから陽性となった人がどこで感染したかを追跡した研究報告でした。

スーパーキャリアーがスーパースプレッダーである

 最新の論文から

Just 2% of SARS-CoV-2−positive individuals carry 90% of the virus circulating in communities    Qing Yang et al. PNAS May 25, 2021 118 (21)

アメリカの大学では全学生が毎週PCR検査しているところが多い。そこでわかったこと。無症状の感染者のすべてが感染力を持っているわけでなく、わずか2%の人が大学内で感染しているウイルスの90%を保持していることがわかった。それ以外の大多数の無症状の感染者はたぶん他人に感染させない。

 
つまり、
SARS-CoV-2の「スーパーキャリアー」が「スーパースプレッダー」になっているわけである。

どのような人が「スーパーキャリアー」になるかがわかれば、感染を防ぐことができる。
スーパーキャリアーは無症状のままだとするとその人の周囲が多数感染することになる。

 

2021年5月20日木曜日

インド変異コロナウイルイスによる第5波?

Pfizer/ BioNTechとModerna のワクチンはインドで流行している変異ウイルスに対しても有効であることがわかりました。 

日本の研究者も数日前にこの結果を発表しましたが、その1週間前に海外で3つの投稿論文が発表されていました。複数の研究で同じ結果が出ているので間違い無いと思われます。

 

そして、昨日、イギリス政府の諮問機関がインド型は英国型の1.5倍感染力が高いと発表しました。

日本でワクチン接種のスピードが今のままなら、多くの人が接種する前にインド型が猛威を振るうと思います。8, 9月頃でしょうか??オリンピックの後に大きな第5波が来ます。 

それを予測するには「現在のところ、面的な広がりはない」とか言ってないで、インド変異型のモニタリングが必要だ。同時に、インド型が増え始めたワクチン接種率が55%の英国の状況を注視することだ。

 
オリンピックをやめて、その間にワクチン接種のスピードを100倍速にすれば間に合うかもしれないのに。


 

2021年5月6日木曜日

世界のCovid-19感染の状況

 

 

COVID-19 Data Explorerはとても便利で世界各国のデータを異なる側面から見ることができる。上は大陸別の人口あたりの感染者データである。

北アメリカとヨーロッパは減少傾向にあるが、南アメリカは高止まりで、アジアは上昇中である。世界中で感染者が減少した後しばらくして、初めて世界の祭典であるオリンピックが開催できるのではないか。インドのように悲惨な状況を見ながらオリンピックを行うことはできない。同時に、日本国内での感染が終息していることが必要だ。この両方ともが満たされない中で、なぜ、オリンピックを強行しようとしているのか、その理由を知りたい。

NYTimes May 11, 2021

There are three main reasons: money, money and money.

2021年5月4日火曜日

「お札のウイルス1週間生存」西村大臣、手洗い呼びかけ

この記事を読んだ人は、やはりコロナは接触感染するのだと思うでしょう。

マスコミは誤っている言説をそのまま報道してはいけない。誤ったことを報道してしまうのは、この件について科学的な判断ができる人がマスコミの内部にいないからではないか。内部にいないなら複数の専門家に訊いてほしい。

さらに誤った報道をしたとわかった場合には訂正記事を出すべきである。 そのような対応を見たことがない。

そもそも政治家が証拠も述べないで恐怖心を煽ることが誤っている。政治家が感染対策について述べることには非科学的なことがあるので注意したほうがよい。日本では今の政治家に正しい感染対策を求めることができない。

 

 「新型コロナの感染経路は空気感染によるもので接触感染の可能性は少ない」というのがこれまでの論文、データから得られる結論である。米国のCDCの4月5日改訂の報告では、接触感染の可能性は、1万分の1以下という数字を書いている。


紙の上で
新型コロナウイルスがどれだけの間、感染力を持っているかを調べた論文は多くある。1日後にはほとんど無くなっているという論文が多い。問題はどのような方法で生存を確認したかである。RNAの存在だけを調べた研究もあるが、RNAが残っていても活性があるとは限らない。

もう一つは疫学的な視点である。もし、紙幣やコインがコロナの感染源になっているならば、それらに触れる機会が多い人に感染者が出るはずである。そのようは報告はないのではないか。
 

手洗いは推奨されるが、多くのデータから考えると接触感染による新型コロナ感染は非常に起こりにくいと考えられる。

ただし、幼児は接触感染がおきる可能性がある行動をいつもしている。 しかし、幼児は新型コロナに感染しても無症状か軽い症状であるという。もちろん例外はある。