2022年2月18日金曜日

根拠がない発言

米モデルナの最高経営責任者が次のように語ったと朝日新聞に報道されていたが根拠がない発言だ。このような記事をノーチェックで載せてしまうとは呆れる。

「パンデミックはいま最終段階を迎えていると思うか」と問われ、「妥当なシナリオだ。80%の確率で、オミクロン株が進化するにつれ、新型コロナウイルスの毒性が弱くなる」「残りの20%のシナリオは毒性の強い次の変異株が出現することだ」

オミクロンはデルタが変異して出現したものでないことに留意してほしい。想定外の変異である。オミクロンが変異して弱毒化する保証はない。どのような変異が出てくるかは予想できない。80%にも根拠がない。

2022年2月11日金曜日

感染対策について思うこと(4)

✳️ オミクロンの後遺症について報告がでてきた。喉の痛みや咳が続くという。

✳️  福岡の2月8日のPCR陽性率48.1%ですごいと思っていたら、神奈川は84.9%だった。すると、神奈川県が発表した。「オミクロン株の感染拡大を受け、医療機関等の業務がひっ迫しています。検査数の把握が困難となっていますので、一旦、検査数・陽性率の公表を停止します」

✳️  東京、大阪などでは、コロナでない緊急搬送が困難なほど医療が逼迫している。欧州の国では感染者も入院数も日本と比べて圧倒的に多いのに、病床に余裕があるようだ。日本は準備が足りなかったのではないか

✳️  新型コロナの深刻な問題は、Long COVID 後遺症です。子供たちはコロナに感染しても重症化しないので深刻な問題ではない。ワクチン接種も必要でないのではと議論されている。しかし、子供にも後遺症があるという報告がでてきた。

✳️ デンマーク、フィンランド、スェーデンなどはコロナ規制を解除するという。しかし、この3国の感染状況(下図)を見るともう少し待つべきだ。 

人口あたりの死亡者数が上昇している


2022年2月9日水曜日

感染対策について思うこと(3)

✳️ 多くの県でPCR検査の陽性率が40%を超えており極めてまずい状態だ。その10分1ほどが市中の感染率だと思われる。

✳️ いくつかの県で感染者の減少傾向が見られているが、他の県ではまだ上昇している。減少している県でも高止まりの傾向が見られる。今月中は厳しい状況が続きそうだ。重症化、死亡例がこれから増加するだろう。

✳️ Covidの対策は先を読んで行う必要があるのに、オミクロン感染の当初まだ面の広がりになっていないとか言って対策を疎かにしていた。

✳️「岸田首相はワクチンの3回目接種を「1日100万回」とする目標を掲げた」。自治体の責任者に一番圧力がかかるのかな。2回接種の8ヶ月後で準備していた根拠が明らかでないが、オミクロン変異を警戒し始めた昨年の12月に接種を早める準備ができたはずだ。しかし、首相自らはそのような判断ができる能力はないので、首相あるいは厚労省の周辺にいる人が助言しなければいけなかった。

✳️ 今回使われているコロナのmRNAのワクチンは重症化を防ぐことはできるが、感染を防ぐことができない。鼻腔にスプレーするワクチンがこれまでに考案されている。最初にコロナのmRNAのワクチンを接種した後にスプレーワクチンをすることで、鼻腔の粘膜の免疫応答が強化できるという研究は有望で、人間での臨床テストの結果が待たれる。

✳️ 新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2は、コウモリ起源だと考えられているが、他の動物にも感染することができる。これまで、ミンク、ハムスター、オジロジカ(white-tailed deer)などが話題になっている。北米のオジロジカはSARS-CoV-2に感染していて抗体もできているという。このような動物たちが人の感染経路とどのような関係にあるのかはまだわかっていない。

2022年2月5日土曜日

2歳の子にマスクをさせるのは不可能です!

昨日、夜7時のNHKニュースを見ていたら「2歳以上の子供たちはマスクを」といった後に、訂正がありますとなって「マスク着用を推奨」になった。政府の分科会で決めたらしい。

その前の2月3日に全国知事会が厚労省に要望したそうだ。

とするならば、この国のすべての指導者たちがどこまで無能であることか。誰一人としてそれは無理ですよと助言できる人がいなかったのか。


小学校での感染対策もニュースに出ていたが、今になって考えたわけだ。これは昨年の春からアドバイスしておくべきであった。

保育園、幼稚園での感染対策は難しい。幼児が感染した場合、無症状が多いことが知られている。症状がでる場合は、発熱と咳だろうが、コロナでない場合も多いだろう。

考えられる対策は検査を行うことだ。唾液を用いた抗原検査が迅速で良い。検査を週2回でも行えばウイルス量が多い子を見つけることができるだろう。(しかし、キットが不足していて実行できない。)

陽性であった場合は、幼児以外の者が常時KF94マスクをして換気に注意することが考えられる。幼児を隔離することは不可能だ。欧米の様に幼児が一人で寝る様になっていれば別だが。

幼児のマスク着用は、さまざまな面で弊害があり推奨すべきでないと思う。そもそも、2歳の子にマスクをさせるとすぐに外すだろう。

2022年2月2日水曜日

感染対策について思うこと(2)

✳️ 国立感染研が1月13日に公表した変異株オミクロン株に関する第6報には「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫感染と、接触感染と考えられた」とあり驚いた。これは世界の科学的な見解と異なり誤りである。このような見解を出しているので、社会では意味がない感染対策がいつまでも行われている。感染研の研究者は研究論文を読んでいないようだ。

✳️ 昨日、体育館でのワクチンを受けに行った。多くの人が働いていてご苦労さんだと思ったが、椅子に座っている人が立ち上がった後に座席をエタノール消毒していた。衣服にウイルスが付着していて座席に残り、つぎに座った人の服についてそれが接触感染を引き起こすことを心配しているが、その可能性はほとんどない。飲食店でもテーブルの上などをエタノール消毒しているが同様である。エタノールも人の労力もまったくの無駄である。ついでに言えば体温計はほとんどの家庭にあるので、自分で測って記入してくればよい。発熱があれば接種を延期すればよい。会場で使われていた赤外線の体温計では正確に体温測定ができないことがある。それに2回も体温測定をしていた。

✳️ 最初の2回のワクチン接種は病院で行ったが、接種後の待機を除いて待ち時間はなかった。集団接種は時間が掛かり、医師の問診があったが実に形式だけで数秒で終わった。長時間拘束される医師は報酬に見合う仕事をしているのかなと思った。

✳️ オミクロンが出てきた頃、このウイルスは弱毒化しており普通の風邪と変わらない、インフルエンザと同じレベルだという言説を何度も聞いた。そう言っていた人は、今の状況を見て同じことを言うだろうか。 調べてみたら、ある方は今も同じ発言をしていた。今日報道されていたデンマークのようにすぐに規制を解除せよと言っている人もいた。そのように言う人には事実の科学的な思考がなく、単に希望を述べているに過ぎない。デンマークは科学的根拠によって感染対策を取っている。高齢者の94%が3回目接種済みで全体でも60%を超えており、医療体制も検査体制もしっかりしている。

✳️  日本の3回目のブースター接種は遅れているので、今回の感染の波を早期に抑えることはできないだろう。接種がこれほど遅れたのはなぜだ。

✳️ PCRの陽性率が全国的に非常に高く、31日の福岡県は36.5%だった。検査を受けた人は感染の疑いがある人であるが、発表されている毎日の感染者数は、実際の感染者のごく一部だろう。

欧州におけるコロナ規制撤廃はどれだけ続くか?

英国、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランスでは、国によってやり方が異なるが、新型コロナの規制を解除する。これらの国ではワクチンの3回目接種が40%を超えている。ドイツも超えているが、少し慎重のようだ。日本がそれに倣うのはまだ早い。完全な規制撤廃で感染者の減少がどのようなカーブを描くかはわからない。もし上手くいけば、一時的でも制限を撤廃することは、次の変異ウイルスの出現に備えるための準備になるだろう。


日本では昨年の10〜12月の3ヶ月は感染が抑えられていた。欧州の規制撤廃がどれだけ継続できるかはわからない。
新たな変異がすぐに生じなければワクチンの効果は半年ほどはあるだろう。

ただ、これで終わりではないだろう。ブースター接種による免疫も徐々に低下するので重症化予防効果も失われていく。次の感染の大きな波が生じないようにする対策が必要ではないか。新たな変異ウイルスに対しても有効な万能ワクチンの開発にはあと数年かかるという。

もう一つ理解しておく必要があるのは、新型コロナに対しては集団免疫は成立しないことである。自然に感染してできる免疫は弱くて、次の感染を防ぐことはできない。  

ワクチンの3回目接種の進行状況 日本はなぜこれほど遅いのか?