2018年9月25日火曜日

東西ドイツ

 45年の間分断されていた東西ドイツは、統一後28年を経過した今でも、違いがあることに気づかされます。ドイツの西側ではたいてい英語で大丈夫ですが、こちらの少し年配の方はロシア語を学んでいたため英語が通じない人がいます。また西側に比べると経済的に貧しく、格差の解消にはまだ何十年もかかりそうです。驚いたのはサッカーのロシアW杯の時、この地ではまったく盛り上がらなかったという話です。なぜならドイツリーグの主要なチームのほとんどが西側にあるからです。チームを支えるには地元企業のサポートが必要だからです。

 マグデブルグで出会うアラブ系と思われる人の多くは子連れの難民だった人々です。8月末に外国人排斥を主張するネオナチの人々に、一般の人が加わったデモ(暴動)がこの近くの都市ケムニッツでありました。きっかけは、何らかの口論によって一人のドイツ人が中東出身の二人に殺された事件でした。外国人排斥の騒動が旧東ドイツの地域で頻繁に起こることの背景には、歴史的な問題があり深刻です。反EUを掲げる政党の支持者が多いのも東の地域です。今回の騒動は、ドイツの行く末についての不安を掻き立てるものでした。


 しかし、健全だなと思うのは、この事件についてのドイツの新聞の論評記事です。実に長い文章で、現実を歴史的・社会的に考察しています。このように深く考える人々がいることに希望があるように思います。そして人種差別に反対するデモもすぐに各地で行われました。一方、日本では、マスメディアにおいても真摯な議論が少なく、ヘイト的な発言が放任され多くの人が無関心ではないでしょうか。