2021年7月31日土曜日

ブレークスルー感染

ワクチン2回接種は高齢者で73%、全国民で 28%となりました(7月30日現在)。ファーザーのワクチンは、デルタウイルスに対しても感染予防効果があり、また感染しても重症化が防げますが、完全ではありません。2回接種率が60%を超えれば、感染予防効果が見えてきます。したがって、現在の日本の感染のほとんどは65歳以下の若い人で拡大しています。その結果、死亡者数は減少していますが、感染によって重症化するのは若い人でも変わりません(容体が急変する、恢復後も後遺症があるのも同様です)ので病床は逼迫しています。 


日本の問題点

1. PCR検査数が少ない。 フランスの1/15 英国の1/35 
2. 受け入れられる病床が少なく自宅待機となる。 
3. デルタの感染力を考えた対策がない。 
4. ワクチンは間に合わない。

首相は8月中に2回接種完了4割を目指すと述べたが、それでは今回の第5波の大きさにはほとんど影響がない。


ワクチンの効果の持続期間 感染予防と重症化予防

ワクチンの感染予防効果は88%ほどあると英国で報告されていた。しかし、ワクチン接種が先行しているイスラエルでは、発表される数値が低下してきて現在は60%と報告された。そして、高齢で疾患がある人の感染が増えている。すなわちワクチンの効果は半年後から徐々に低下していくと考えられる。低下のカーブは人によって異なる。

日本で、7月に接種を終えた高齢者が感染する可能性はしばらくは10%ほどであるが、来年になると50%ほどと低下してゆく。欧米では3回目のワクチン接種が議論されていおり、イスラエルは8月から高齢者の3回目接種を始める。


デルタコロナウイルスの脅威

毎回の感染の波は異なる変異ウイルスによっているが、デルタ変異ウイルスは極めて感染力が高い。先週、中国から公表された論文ではデルタ感染者が鼻孔に保有するウイルス量は従来株の場合の1000倍に上ることがわかった。これまでの感染対策では不十分であることは明らかである。人がいる場所では空気感染が起こりうる。医療仕様[N95(米国) FFP2(欧州) KF94(韓国)]のマスクの着用が必須である。

2021年7月17日土曜日

ワクチン接種の効果

コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンは、Pfizer–BioNTech, ModernaのmRNAワクチンの一人勝ちの状態です。残念ながら他社のワクチンでは変異ウイルスに対しての感染予防効果が低いです。日本ではワクチン接種のスタートが遅かったのですが、そのお陰でこの2種のワクチンのみで接種が行われました。

 購入していたAstraZenecaのワクチンを台湾、インドネシア、タイに供与していますが、デルタ変異ウイルスに対する効果は低くなります。


ワクチンの1回接種が国民全体の40%を超えれば感染者が抑えられてくるという伝聞情報を首相が述べています。それは厳格なロックダウンを行なっている状態で、アルファコロナウイルスによる感染が拡がっていた英国、フランス、ドイツの事例からの推測です。首相周辺から出てくる見通しはいつも甘く外れます。


今の日本の接触制限は緩く、感染力が強いデルタウイルスが拡がっている状態では異なります。デルタはワクチンを2回接種して2週間が経過しないと感染が防げません。

おそらく、2回接種が全国民の50%を超えないと感染は抑えられてこないでしょう。現在、日本は20%ですから、ワクチンの効果が出てくるのは秋になってからでしょう。

65歳以上の高齢者の2回接種率は55%となりました。したがって、今の感染は65歳以下の人で拡がるので死亡率は低くなるでしょう。しかし、死亡者が少ないから何もしなくてよいという意見は暴論です。
65歳以下の人も重症化しますので医療の対応が必須です。

これからの問題はワクチン接種をしない人の割合です。接種をためらっている人は接種後の死亡事例を心配していると思います。ワクチン接種後に死亡した例について国が詳細に説明をしないと納得されないでしょう。