2011年2月18日金曜日

希望よ 走れ

夜中に目が覚めてイヤホンをつけるとなつかしい歌声が聞こえてきた。NHKのラジオ深夜便の歌、山崎ハコの「あなたの声」だった。深夜にふさわしい歌だった。

ハコの声には色がある。しかしその色は多色であって言葉で表すのは難しい。今から36年前、17歳の時に「飛・び・ま・す」でデビューした少女が、その面影を残して今も歌っている。彼女の歌はいつも心の底から溢れ出てくる叫びだった。彼女自身は明るい人であるが、歌のなかでハコは悲しみや絶望を歌うことが多かった。そのような心の闇をだれもが持っているはずなのに、わたしたちは日常生活では他人に見えないように隠している。しかし、ハコはそれを包み隠さず歌っていた。

若いときに歌っていた人の中には、もう歌わなくなった人や、懐メロ的に歌う人、そして今もかわらず歌い続けている人もいる。山崎ハコは商業ベースから離れて中断を経験しつつ、人生の歩みとして歌い続けている。

そして、いま、暗い夜にあって、過ぎ去った昔を振り返りつつも、選んだ今の生き方を受け入れ、そして愛して、未来の希望を見据えている。「夜の空を 希望よ 走れ」という願いは少し切ないけれど、確かにあたたかい。