2022年1月10日月曜日

弱毒化したオミクロンでパンデミックは終わるのか?

 「オミクロン変異は普通の風邪ウイルスになったので何も感染対策など要らない。むしろオミクロン感染を広げることがよい。インフルエンザより死亡率が低い。マスコミは感染者数を毎日報道して恐怖心を煽っているだけだ」という人々がいます。

国民の恐怖心が過剰であるのは同感ですが、問題は正しい感染対策が取られていないことです。感染者がいてもエアロゾル感染が起こらないようにする対策が必要です。換気が悪い空間でマスクをしないで長い時間発声する状況を作らないことが肝要です。今の問題は換気をすると寒くなることです。

オミクロンの感染は上気道だけに留まり肺炎をおこさなく、誰もが数日で回復して入院する必要がないのであれば朗報です。オミクロンが広がることでデルタが駆逐されるからです。ただ、重症化の可能性がどれほど減少したかが重要です。感染者の急上昇は医療的にも社会的にも影響が大きいので季節性のインフルエンザとは状況が異なります。


新型コロナは風邪ウイルスにすぎないとの主張は当初からありました。デルタまでについては完全に誤りでした。オミクロンについてはこのように断定するのはまだ早急です。

弱くなったことを示す実験データも複数報告されています。ハムスターなどの動物を使った実験に加えてヒトの肺組織を使った実験もあり、肺でのウイルス増殖が弱くなっています。もし、これらの結果が正しければよいのですがやはり人のデータが必要です。

オミクロンの弱毒化は、オミクロンの感染が早く始まった南アフリカと英国の状況に基づいています。実際、これらの国では、人々の病状は軽くて入院が必要な人は少ないです。しかし、それはワクチン接種や、デルタウイルスに感染して獲得した免疫の働きによるのかもしれません。英国では90%以上の人が抗体を持っていました。南アフリカはワクチンの接種率は低いですが感染した人はかなり多いと思われます。

オミクロンの感染者は20歳代などの若い世代が多いです。重症化するのは高齢で肥満、糖尿病などの持病がある方が多いことがわかっています。若い人は重症化しにくいです。しかし、日本のワクチン接種率が80%の手前で横ばいになっていますので接種していない12歳以下の子供たちの感染は危険です。
 

カナダで新生児、幼児の感染が報道されています。おそらく普通の風邪のコロナウイルスに感染したことがなく、その免疫が働かないので重症化するかもしれません。ニューヨークでも12歳以下の子供の入院数が増加していると報告されています。日本では子供へのワクチン接種が行われていません。


死亡者が出てくるのはもうしばらく経ってからですから1月末のデータを見る必要があります。先日、南アフリカ、英国で死亡者が上昇しているというデータが出てきました。



パンデミックは今年で終わると述べている人もいますが、これも希望的観測であって根拠がありません。新たな変異ウイルスは世界中ですでに生じていてオミクロンに取って変わる機会を狙っています。例えば、デルタとオミクロンの同時感染によって両者のハイブリッドが生じています*。オミクロンが生じた想定外の系譜をみると、どのような変異が今後起こるかは予測できません。感染者が増えるほど変異の数が増えて行きます。

*これは遺伝子配列を決定する操作でのエラーによると思われ、データが削除された。2022.1.13



omicronはデルタなどの系譜からでなく初期のウイルスから派生している


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