リルケの『ドゥイノの悲歌』を初めて読んだのは高校生の時だった。しかし、先ほどまで、ドゥイノがイタリアにあることを知らなかった。
イタリア半島の付け根のスロベニアとの国境から近く、トリエステにドゥイノがあり、その古城でリルケは詩を書き始めたのだ。
ああ、いかにわたしが叫んだとて、いかなる天使がはるかの高みからそれを聞こうぞ?
よし天使の序列につらなるひとりが不意にわたしを抱きしめることがあろうとも、わたしはそのより烈しい存在に焼かれてほろびるであろう。
なぜなら美は怖るべきものの始めにほかならぬのだから。
われわれが、かろうじてそれに堪え、歎賞の声をあげるのも、それは美がわれわれを微塵にくだくことをとるに足らぬこととしているからだ。すべての天使はおそろしい。
須賀敦子さんの「トリエステの坂道」を読んでから、いつかその街を訪れたいと思っていた。そこにドゥイノがある。 サバとリルケがいた街を歩いてみたい。アドリア海に面した美しい海辺を。
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