2020年11月7日土曜日

実家はどちらですか?

「実家がドイツにある」と聞いて違和感を感じた。実家は日本にあるのが普通だと思っていたからだろう。「実家」は家を重んずる日本人らしい言葉だと思う。両親が住んでいて、自分が生まれた家というのが定義だ。しかし「実の家」という表現の背後にある考えは好みではない。「家」が途絶えなく移住もなかった時代の言葉だろう。

「実家がドイツにある」のは両親が住んでいるのがドイツという意味だ。では、両親がすでに亡くなって、その家はもう売り払ったという場合は、私の実家はもうないことになるのか。両親が老後に引っ越した場合はどうなるか。いろいろなケースがあるが、実家の意味は時代と共に変化している。私の実家はもうないと書くと、山崎ハコの「望郷」の歌を思い浮かべる。

「あの家に帰ろうかあの家に帰ろうか あの家はもうないのに」

広辞苑の実家の項目には「家制度の廃止によって、法律上は廃語になった」とあった。家制度は明治時代に民法で規定され戦後に無くなった制度である。
家制度で思い出したが、「父兄」という言葉が今でも使われている。これは直ちに廃語にしてほしい。

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