2020年11月15日日曜日

serendipity 科学的発見は偶然に 

これは昔書いた文章です。
 
昨夜、ストックホルムでの本庶先生のノーベル賞受賞講演を聴きました。最初は少し緊張されていたようでした。話の内容はもちろん研究中心でしたが、天文少年が医学部を目指すようになったのは野口英世の伝記を読んでからだそうです。(伝記の野口英世は素晴らしいのですが、彼の研究に対する国際的な評価は高くありません)私が本庶先生の学術講演を初めて聞いたのは、たぶん先生が東大におられたときの遺伝学会、そして基生研だと思います。基生研の時の講演は流暢な英語だったので、その時のことを思い出しました。
 
本庶先生が若い時に米国のボルチモアのカーネギー研究所で研究を始めた頃のスライドがありました。私は30年ほど前にその研究所に行ったことがあるのですが、私が日本から来たと知って、たぶん技官をしている黒人の女性がTasukuは元気か?と尋ねました。
 
その頃、私は本庶研と共同研究をしていたので、もう偉くなっているよ!と返事をして、帰国して本庶先生に会った時にその話をしたところ、ああ(名前)ねと言われました。彼女がまだ生きていてTasukuがノーベル賞を受賞したことを喜んでくれればいいなと思いました。

講演の中で「私はただ幸運だった」という言葉が印象的でした。研究者が画期的な成果をあげられるかは、多くは運だと思います。だから、成功した人も、しなかった人もそれほど違わなくて、多くの人が挑まないと新しい発見は生まれないのです。

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