2021年2月2日火曜日

(6) 新型コロナの感染経路の誤解

新型コロナの感染について多くの人々が誤っていることがあります。頻繁に手を消毒し、いろんなところを消毒するために拭いている。一番酷いのは噴霧器で消毒剤を撒いています。

これは、接触感染を怖れての対処ですが、新型コロナは接触感染はまれにしか起こりません。

手を消毒し、人が触れるものを消毒しています。消毒剤の噴霧消毒、消毒剤で机や椅子、ドアノブなどを拭いています。それに要している人々の労力、消毒液は膨大です。しかし、その努力のほとんど無駄であると私は思っています。日本の専門家も、WHOも間違った指針を出していました。

WHOが空気感染の”可能性”を認めたのは最近です。 

1月29日のNatureにも以下の解説が載っていました。 

COVID-19 rarely spreads through surfaces. 

So why are we still deep cleaning? 

新型コロナウイルスは接触によって感染することはほとんどないのに、なぜ人々はいまだに消毒し続けるのか?

新型コロナの感染は、息、発声によって発生するエアロゾルによるものがほとんどです。このことは、昨年の3月頃からの感染例の報告を見ていれば明らかでした。

息、発声、咳によって様々な大きさの微粒子が放出されますが、すぐには落下しないほど小さな粒子を含むエアロゾルは空気中に漂い続けます。エアロゾル中のコロナウイルスは、何時間も感染力を保っています。エアロゾルを吸い込むと、すぐに肺の奥深く肺胞に達することができます。

締め切った部屋で合唱サークルの練習を行っていて大規模に感染した事例が昨年の前半期に多数報告されていました。歌う時に声帯から生じるエアロゾル量は膨大で、また吸い込む空気も多いので、無症状感染者がいれば容易に感染が起こります。

肺胞の細胞には、ウイルスが侵入の手がかりにするACE2が細胞膜に発現していますので、細胞内に侵入して感染が始まります。大きな飛沫粒子は肺まで達しないかもしれません。嗅覚器、味覚器にも侵入できる細胞があります。 嗅覚器、味覚器への感染は、外気から直接なのか、肺で増えたウイルスが感染するのかはわからないでしょうね。

接触感染は、手についたウイルスがまず、口や鼻に入らないといけません。口に入ったウイルスは唾液と一緒に食道から胃に入ります。つまり、普通は肺には行かないのです。もしウイルスが胃のなかでも不活性化されないと小腸の細胞に侵入口を見つけて感染が起こります。下痢の症状だけの人も報告されているのでこの状況だと思われます。

幼児は何でも口に入れるので接触感染が起こる可能性があります。腸内でのコロナウイルスの滞在期間は長いようです。

感染が始まったときに、専門家が手の洗い方をテレビで実演していましたが、あれは無菌操作の実験をするときの洗い方で、私たちの日常生活では必要ありません。 

もうひとつの問題は、過剰なアルコール消毒です。皮膚の常在菌は皮膚を守っていますが殺菌でその細菌が死滅し、皮膚あれの原因になります。さらに度重なる殺菌は、細菌の生態系を崩し、耐性菌を生み出す可能性がああります。

 

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