2021年1月5日火曜日

新型コロナのワクチンを考える(2)変異と有効性

ワクチンが救世主のように思われていますが、まだわからないことがあります。mRNAワクチンにしても、アデノウイルスのDNAワクチンにしても人類が初めて使うものですから長期の安全性の保証がありません。幸い日本の実施は遅れているので、打ってから数ヶ月の欧米のデータを参考にすることができますが、1年以上も後のことはわかりません。免疫がどれだけの年(月)数保たれるかも不明です。

追加:1月6日のScienceの論文は免疫記憶は感染後6-8ヶ月ほどは保持されていることを報告しています。ワクチンも同様であると分かれば良いのですが。


しかし、ワクチンの安全性に疑問を持って接種しない人が増えると集団レベルのワクチンの効果が出てきません。推定では70-80%以上の人が接種しないとその集団での効果がでないと考えられています。

 

もうひとつの問題は、変異体のウイルスに対しても今のワクチンが有効であるかです。有効であるに違いないという人がいますが、有効性が低下していて使えない可能性は除外できないと私は思います。(抗体が抗原を認識する場所はランダムではないからです。アミノ酸置換によって、特に重要な抗原決定基の構造が変化する可能性があります。)英国、南アフリカの変異体が知られていますが、さらに新たな変異体が生じるかもしれません。特に現在のワクチンに効果がないようにウイルスが変異する可能性は十分にあります。変異の手助けをしているのは人間です。人間が感染を広げるほど変異が多くなります。

追加:1月8日にPfizerは、英国、南アフリカの変異体のウイルスにに対してもワクチンが有効であると報告しました。 その査読前の論文は公開されました。

現行のワクチンが効かなくなれば、mRNA, DNAワクチンでは塩基配列を変えることは簡単なので、新たなワクチンがすぐにできるでしょうが、cat and mouse状態になるかもしれません。南アフリカの変異体に対するワクチンの製造が始まっているという。

各人の選択としては、様子を見ながら、先行しているmRNAワクチンを接種するのがよいでしょう。

※ 新型コロナに関する科学的事実は更新され続けているので、上記の内容が誤りであることがわかることもありますので、ご注意ください。

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