2022年7月21日木曜日

エアロゾル中のSARS-CoV-2の感染力はすぐになくなる

SARS-CoV-2の感染者が息をしたり喋ったりするときに排出されるウイルスを含んだエアロゾルを吸い込むことによって感染が起こります。一定量以上のウイルスを吸い込まないと感染が成立しないでしょう。

呼気のエアロゾルの量、および含まれているウイルス濃度は、個人によって100倍以上の違いがあることが知られています。したがって、 感染してエアロゾル量が多い人(スーパースプレッダー)が隣にいるかどうかがポイントになります。

エアロゾルの中のウイルスは、空気中でどのだけの時間、感染力を保っているのでしょうか?

これまでは、空気中で1ー2時間感染力を有しているという報告がありました(回転ドラムを用いた実験による)。したがって、感染者が滞在していた換気が悪い部屋に入ると感染することがあると考えられてきました。
 

より自然状態に近い実験方法を用いて秒単位で調べた結果、エアロゾル中のSARS-CoV-2の感染力はそれほど長くは保たれないことがわかりました。これが正しいならば、私たちが感染を防ぐために注意すべきことがより明確になります。


相対湿度45%未満では、液滴粒子の風解(efflorescence)とよばれる現象により、水分が無くなることで1分以内に感染性がなくなる。

相対湿度90%では液滴
粒子は水分を保ち、ウイルスの安定性は最初の2分間は維持されるが、それ以降は低下し、10分後には10%の感染性しか残らない。液滴内の塩濃度、pHなどが感染力の低下に関係しているようです。ウイルスの変異によってこれらの結果は変わらないという。

感染者から排出されたエアロゾルを数分以内にごく近くにいた人が吸い込むことによって感染が起こると考えられます。湿度が高い環境ではその時間と距離が少し長くなるでしょう。夏の湿度が高い日本と湿度が低い欧米では感染力の低下の時間はかなり違うでしょう。

この結果から考えると、いわゆるソーシャルディスタンスをとることはとても重要です。感染者から離れているほど空気中を移動してくるウイルスが感染力を失ってくるからです。

換気とKF94などのマスクをすること、CO2モニターで換気状態を監視することが要の感染対策です。

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