2023年3月3日金曜日

コロナの今後を考える

日本では3割ほどの人がコロナに感染したという昨年のデータがあります。第8波を経過した現在のデータはわかっていませんが、海外の8割という割合には達していないと思われます。

であるなら、ワクチンだけの免疫はハイブリッド免疫よりも弱いので、欧米のように感染対策を撤廃するのは賢明ではありません。一方で、ワクチンを接種してから自然感染するのが良いかと言えば、ワクチンによって後遺症の発生が完全に抑制されるわけではないので必ずしも勧められません。後遺症は、心臓、肺、脳などについての病状の拡大、死亡の上昇によってこれから見えてきます。またハイブリッド免疫でも再感染する場合もあります。

欧米では、日本よりはるかに多い死亡者と後遺症を持つ人の犠牲を伴って、ハイブリッド免疫が成立しているのです。日本では第8波の死亡者がこれまでで一番多く、そのほとんどは
高齢者です

 今後は年に1回のワクチン接種が必要だと思われます。加えて、鼻腔へのスプレー式のワクチンが感染拡大の予防に有効です。

「コロナは終わった」「コロナは普通の風邪になった」というのは、科学的に間違っています。

2022年9月5日月曜日

ハイブリッド免疫

欧米でコロナの感染が収まってきているのに日本の感染者がなぜ多いのか?

その原因は、欧米では自然感染している人の割合が多く、例えば米国では60-80%ほどの人が自然感染しているが、日本は5%(2022年3月時点)ほどであるからです。

最近わかってきたのは、自然感染してワクチン接種をした人は「ハイブリッド免疫」が成立しており、ワクチン接種だけの人より免疫が強いことです。

ワクチンを接種した人でも、口腔、上気道の粘膜での感染の予防効果が弱いので、感染した場合、他者を感染させます。一方、自然感染した人は粘膜での抗体の量が多いので感染しにくいと思われます。

最近、欧米ではだれもマクスしていない、日本人はいつまでマスクしてるのだという発言が多いです。しかし、上記のように状況が違うのです。物事は単純でなくて複雑なのです。

欧米で感染者が多いということは後遺症の人も多いということで、これから深刻な問題になっていきます。だから、ワクチン接種してから自然感染すればよいと考えるのは危険です。ワクチンには後遺症の発生を抑える効果がありますが、完全ではありません。


今後の問題は、ハイブリッド免疫がどれだけの期間維持されるかです。それが弱くなってくると、再び感染が広がってくるでしょう。

急いで必要なのは、現在開発中の鼻へのスプレー式、あるいはウイルスのスパイクタンパク質のアメのワクチン(スプレーでなくて口の中に入れるだけで効果があることがわかった)を早く使えるようにすることです。

2022年8月30日火曜日

がっかりすること 無駄なコロナ対策

夏休みが終わり、小学校の先生が一生懸命に教室の机をアルコール消毒して拭いている映像がテレビのニュースで流れていた。扉まで拭いていた。

葬儀社はいまだに、亡くなった方を袋に入れているという。

この国の責任者は、なぜ、このようにまったく意味がない感染対策を止めるように言わないのか。

新型コロナウイルスは、エアロゾルによる空気感染が感染ルートであり、接触感染はほとんどないことは、このウイルスが出現して半年後には明らかだった。その後の多くの研究論文がそのことを支持している。

科学的根拠がないことを怖れる必要はない。

「怖れない」で思い出したが、外を散歩する時にマスクをする必要は以前から全くない。最近、半数ほどの人がマスクをしていないので少し安心である。

 

「コロナは終わった。コロナは普通の風邪と同じになった。これまでのように怖れる必要はない。ウイズコロナで行こう。」

という言説が世界的に流れている。しかし、これも科学的にみて間違っている。

このように人々に思わせるのが、新型コロナウイルスの巧妙な戦略です。

世界はこれから、後遺症による多様な健康被害の増加に対処しなければならなくなるだろう。 さらに、新たな変異ウイルスが生じるでしょう。

 


2022年8月27日土曜日

多くの動物へのSARS-CoV-2感染が拡大しています

新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、コウモリから人間に入ってきたと考えられています。感染が始まった頃に、ネコやイヌなどのペットにも感染するのですか?と問われたことがありましたが、当初、報告はありませんでした。

2021年の2月にイヌでの感染が報告されました。また、デンマークでのミンクの感染、香港のペットショップのハムスターの感染が報道されています。膨大な数のミンクが殺処分されました。

これまでの調査によって、SARS-CoV-2は、23種の動物に感染を広げていることがわかりました。35カ国での報告があります。感染が確認された動物は、トラ、ライオン、ネコ、イヌ、ゴリラ、オジロジカ、ハムスター、ミンク、カワウソ、アリクイ、マナティ、カバなどと幅広いです。

 

各種動物に感染を広げたSARS-CoV-2ウイルスは、変異を繰り返して、再び人間に戻ってくる可能性があります。なかでもネコ、イヌから人間への感染ルートがもっとも危険です。

緊急に必要なことは、SARS-CoV-2を含めて、人間と接触がある動物たちが有していいる全ウイルスのサーベイランスでしょう。動物から飛び越えて人間に感染しうるウイルスはSARS-CoV-2だけでなく多数あります。地球温暖化の影響で人間と動物たちの接触が多くなっていることも気がかりです。

すべての生物はウイルスと共に地球上で進化してきて、共に生きていることは、苦しみも伴うことです。鳥や羊や牛がウイルスに感染した場合、人間は徹底的に殺処分を行うことも。


2022年8月6日土曜日

北海道カボチャ

先日札幌で、北大に就職したドイツ人と話をしていました。彼がドイツで「日本の北海道に行く」と言ったら皆に「ああ、カボチャのところね!」と言われたそうです。ドイツのスーパーに行くと「Hokkaido Kürbis」というかぼちゃが売っているのでみんな知っています。カボチャ=北海道です。Hokkaidoカボチャは欧州の他の国でも売られているそうです。Hokkaidoが日本にあることを知らない人もいると思う。でも北海道という品種のカボチャは日本にありません


京都は、1997年の気候変動に関する国際会議で採択された「京都プロトコール(議定書)」としてドイツで知られているのは意外でした。他の日本の都市では鈴鹿が有名だそうです。東京に加えて、広島、長崎はもちろん知られています。

ドイツ人の彼が日本のスーパーで見つけて笑ったのはフランクフルトソーセージだそうです。


 

2022年7月26日火曜日

マスクをすると新型コロナ感染が拡大する??

ネットのコロナ関連のニュースにはとんでもないことが書かれていることが多い。

欧米ではマスクをする人がほとんどいなくなったのに、日本はみんなマスクをしているのに感染者が増えていることから公衆衛生に詳しい医師が考えたという。

「隙間のあるマスクをしている人は逆にエアロゾルを多く排出している可能性がある」  

「マスクをすることで呼吸器系の鼻腔、口腔、肺内、気道の温度が上昇し、排出されるエアロゾル量が増え、より感染が拡大しやすくなっているのではないか」

両者とも科学的根拠が全くない思いつきでしかない。このような記事をのせる記者もこの思いつきを疑うことをしない。

残念ながら、マスクに感染予防の効果がないという方は少なくない。

 

コロナの感染状況は国によって多くのことが異なります。何回も異なる変異ウイルスによる感染の波を経ると、人々がある時点で有している免疫も国により異なります。欧米でマスクをしていないのを見て、日本でもと考えるのは単純すぎるのです。

換気が悪く、人が密集している場所ではマスクの着用によって感染を防ぐことができます。特に夏は冷房を行うので多くの場所で換気がされていません。室外ではほとんど必要がないでしょう。

査読読前の米国の研究者の論文によると、1732人を調べた結果、マスクをしていて感染したのは7%、マスクをしていなくて感染したのは52%であったという。マスクの効果を調べた論文は数多くあります。

2022年7月21日木曜日

エアロゾル中のSARS-CoV-2の感染力はすぐになくなる

SARS-CoV-2の感染者が息をしたり喋ったりするときに排出されるウイルスを含んだエアロゾルを吸い込むことによって感染が起こります。一定量以上のウイルスを吸い込まないと感染が成立しないでしょう。

呼気のエアロゾルの量、および含まれているウイルス濃度は、個人によって100倍以上の違いがあることが知られています。したがって、 感染してエアロゾル量が多い人(スーパースプレッダー)が隣にいるかどうかがポイントになります。

エアロゾルの中のウイルスは、空気中でどのだけの時間、感染力を保っているのでしょうか?

これまでは、空気中で1ー2時間感染力を有しているという報告がありました(回転ドラムを用いた実験による)。したがって、感染者が滞在していた換気が悪い部屋に入ると感染することがあると考えられてきました。
 

より自然状態に近い実験方法を用いて秒単位で調べた結果、エアロゾル中のSARS-CoV-2の感染力はそれほど長くは保たれないことがわかりました。これが正しいならば、私たちが感染を防ぐために注意すべきことがより明確になります。


相対湿度45%未満では、液滴粒子の風解(efflorescence)とよばれる現象により、水分が無くなることで1分以内に感染性がなくなる。

相対湿度90%では液滴
粒子は水分を保ち、ウイルスの安定性は最初の2分間は維持されるが、それ以降は低下し、10分後には10%の感染性しか残らない。液滴内の塩濃度、pHなどが感染力の低下に関係しているようです。ウイルスの変異によってこれらの結果は変わらないという。

感染者から排出されたエアロゾルを数分以内にごく近くにいた人が吸い込むことによって感染が起こると考えられます。湿度が高い環境ではその時間と距離が少し長くなるでしょう。夏の湿度が高い日本と湿度が低い欧米では感染力の低下の時間はかなり違うでしょう。

この結果から考えると、いわゆるソーシャルディスタンスをとることはとても重要です。感染者から離れているほど空気中を移動してくるウイルスが感染力を失ってくるからです。

換気とKF94などのマスクをすること、CO2モニターで換気状態を監視することが要の感染対策です。