2020年12月29日火曜日

新型コロナ:SARS-CoV-2 の変異ウイルスVOC-202012/01

遺伝子配列を決定する技術はこの10年ほどで解析に要するスピードが増して安価でできるように進化してきました。その機器であるシークエンサーは、多くの大学、研究所に配置されています。英国では、全国的なコンソーシアムCOVID-19 Genomics Consortium(COG-UK)を早期に組織され、各地の感染者のウイルスを解析し膨大なデータを得てきました。サンプリングしてから24時間で配列決定ができるそうです。配列データを解析して、どの系列のウイルスがどのように広がっているのをモニターしています。

 

ケンブリッジ大学では、教職員と学生、院生の全員のPCR検査を10人分をプールして毎週行って(陽性だった場合は10人を個別で)、一部は配列も決めているそうです。

 

今回の変異体には、23個の突然変異が存在し、そのうち4個は欠失で、6個がタンパク質のアミノ酸を変換する変異でした。ウイルスがヒトの細胞に侵入するために使われるスパイクというタンパク質にもアミノ酸を置換がありました。これだけの機能に影響を与える可能性がある複数の変異があるのは、何らかの選択圧があった結果だとも考えらます。英国や南アフリカが特殊なのでなく、同様な、あるいは別の変異が他の国でも生じている可能性はあります。

 

英国で見つかった変異体が英国国内でどれほど広がっているかを下左の地図で示しています。右側は、これまで世界中で見つかった変異体の系統図で1本の線がひとつのタイプです。これまで全世界で数千種類の変異体が同定されています。黄緑は英国の変異体がどの系列から生じたかを示しています。下部の棒グラフは変異体が11月に生じて徐々に増えていく過程を示しています。

 

VOC-202012/01が、すでに日本に侵入しているなら1月末から徐々にメジャーになってゆくはずです。ただ、日本の遺伝子配列決定数は少なく、発表も遅いので追跡も後手になる怖れがあります。英国の変異型かどうかは、全配列を決めなくてもPCRだけで推定できますが。

 

COG-UKのデータ

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