2017年2月28日火曜日

ショウジョウバエのメスは交尾後、夜にアミノ酸を多く摂取する

九州大学大学院システム生命科学府4年生の内園駿と大学院理学研究院の谷村禎一教授および伊藤太一助教らの研究グループは、ショウジョウバエのメスは交尾後の夜間にアミノ酸を多く摂取するようになることを行動実験によって明らかにしました。

 生物は地球の自転による環境の変化に対応するために「体内時計」を備えています。体内時計によって生物は睡眠などの行動を決まった時間に行うことができます。一方で、生物は生命活動に必要な栄養素を摂取するために、適切な食事をする必要があります。これら2つのバランスが崩れると、ヒトでは生活習慣病やその他の疾患を引き起こすことがわかってきました。本研究グループは、生命活動に必須なアミノ酸の摂食行動が体内時計によって調節されているのかをショウジョウバエを用いて調べました。


 アミノ酸の摂取は、交尾後のメスのハエが卵を産生する上で必要不可欠であることが知られています。そこで、オスのハエ、未交尾のメス、交尾したメスのハエで、昼間と夜間のアミノ酸の摂取量を比較しました。その結果、交尾したメスのハエでだけ、夜間のアミノ酸の摂取量が劇的に上昇することがわかりました。しかし、この変化は交尾後にメスが卵を産生することで引き起こされるわけではありませんでした。また、体内時計を持たない突然変異体のメスのハエでは、アミノ酸摂取量の昼夜の変化が起こりませんでした。つまり、交尾を経験することが引き金となって、体内時計によるアミノ酸の摂取量の昼夜変化が生み出されるのです。


 ヒトでも妊娠中には味覚が変化するなどの様々な変化が起きることが知られていますが、そのメカニズムはよくわかっていません。今後、私たちは、交尾後にだけ現れるアミノ酸の摂取量の昼夜変化がどのように体内時計によって制御されているのかを解明したいと考えています。


 本研究成果は、2017年2月27日(月)午後2時(米国東部時間)に米国オンライン科学誌 「PLOS ONE」に掲載されました。


九州大学プレスリリース

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