2021年12月29日水曜日

PCR陰性であっても公共交通機関が利用できない

海外からの帰国者は、帰国後に隔離場所や自宅に移動する際に公共交通機関を使うことが禁止されている。オミクロンの濃厚接触者となった受験生も会場へ公共交通機関を使わないで行くのが受験の条件である。

両方ともにPCRで陰性であってもこのように指示されているのが理解不能の対策である。


まず、この対策を立案した人は公共交通機関で感染が起こることを想定している。もし、その可能性があるのであれば、感染が拡大している時に、満員の通勤列車やバスは極めて危険であり、過密状態を避けるための対策が必要なはずだ。

もうひとつは、PCR陰性であっても他人を感染させる可能性があると考える理由がわからない。PCR検査のエラーは稀なので理解できない。
検査の前日に隔離場所で感染した場合があるがウイルスはすぐには増えない。

2021年12月28日火曜日

Omicronの感染対策を考える

コロナの感染対策は状況によって臨機応変に変えていかなければならない。対策は国によっても異なる。毎回の感染波で拡大するウイルスの性質の違いを元にして考える必要がある。

ワクチン接種をした人の割合と年齢分布と接種のスピードも考慮しなければならない。また、ワクチンの種類によっても効果が異なる。
 

デルタ、オミクロンについてわかっているのは、ワクチンを2回接種しても感染して他人に感染させることを防止できない、つまり感染防止効果は弱いことである。つまり、ワクチンパスポートの感染予防の有効性は疑わしい。 3回目のブースター接種をすれば、抗体量はかなり上昇し、しばらくは感染予防効果が強いだろう。ワクチン接種後に抗体の産生は落ちてゆくが、どれだけの抗体量があれば感染防止の効果があるのかのデータはまだない。


しかし、感染しても
ワクチンは重症化を防ぐことができると考えられる。従って、デルタの感染時から、感染者が増えても死亡率はほとんどの国で以前と比べて大幅に低くなっている(下図)。オミクロン感染で重症化する率も低くなっている。これがオミクロンの性質によるのか、ワクチンの効果によるかはまだ断定できない。

後遺症についてもまだ判断できない。感染者の中の1-2割の人に後遺症があることが報告されている(感染して無症状であっても後遺症がある場合がある)。様々な後遺症は1年を経過しても改善が見られないという。ワクチン接種が後遺症にどのような影響があるかを知ることが重要である。


いずれにしても、感染重症化のハイリスクグループは、ワクチンを接種していない方、接種しても免疫が成立していない方である。日本のワクチン接種率が頭打ちになっており、全国民の80%にまでいっていないのが心配材料である。

これまでのように感染者数で対策を考えるのではなく、入院者数、重症数を基にして考えるべき時期に来ている。

新しい対策として、抗体がどれだけできているかの検査ができるようにするのが望ましい。オミクロンに対するワクチンを接種しても感染予防の効果がないのであれば、これまでのワクチンと変わらないことになるだろう。


                      欧州各国の人口あたりの感染者数(上)と死亡者数(下)。

2021年12月15日水曜日

Omicronの感染スピード

The Omicron variant advances at an incredible rateと英国で報道されている。

米国のCornell大学では、900人ものコロナ感染者が出てIthaca キャンパスを閉鎖しオンラインに移行したという。感染の多くはオミクロン変異だ。


Cornell大学では97%の学生がワクチンを2回接種していてブースター接種を終えている人もいる。学生は室内でマスクを着用している。

それでも急速に感染が広がったことから、オクロンの感染力はデルタよりかなり高いことがわかる。学生は若いので抗体産生は高いレベルにあると思われるが、ワクチンによるオミクロンの感染予防効果は低いと考えられる。

学内ではPCRテストを頻繁に行なっていたのに感染が広がったのは驚きである。重症化していないのはワクチンの効果によると思われる。

この事例から考えると、日本でクロンの感染が始まるとかなりのスピードで拡大すると思われる。重症化しないので大丈夫ではないかという主張があるが、ワクチンを接種していない人がどうなるかはわかっていない。また後遺症があるかもしばらくしないとわからない。

日本の国際空港での検査は感度が低い抗原テストなので、出国前のPCR検査時の後に感染した人を見つけ出すことができない。また、機内で感染する可能性は高いので、到着時とその3,6日後のPCR検査が重要である。感染後3日後からPCRで検出できる量のウイルスが増えてくる。しかし1週間以上の隔離は、隔離施設内での感染がなければ、意味がない。

しかし、すでに国内にオミクロンは侵入していると推測されるので、日本で感染が広がるのは時間の問題だろう。ワクチンを打てない人、打っても十分な免疫ができなかった人の感染を防ぐことが必要です。

 


2021年12月10日金曜日

Omicron

Omicron変異コロナウイルスについていろいろなことが言われていますが、確定的な事実はまだありません。ある国で観察されたことが、日本でも起こるかはわかりません。デルタより感染力が強いのか(おそらく強い)、より重症化を引き起こすのか、後遺症はどうかなどについてです。

今のワクチンがどれだけ効くのかの報道も、まだ試験管内のデータですから人でどうなるかはわかりません。3回目のブースター接種を受ければ大丈夫という報道がありますが、それがいつまで有効かはわかりません。

言えることは、日本でも感染が起こるだろうが、今以上に恐れる必要はなく、来年はOmicronに対応したワクチンの接種が必要になることです。治療のための抗体カクテルも新しいのが必要です。

「オミクロンは空気感染する」という新聞の見出しがありましたが、新型コロナは当初からエアロゾルによる空気感染で広がっており、ホテルの隣の部屋の人が廊下で感染した例、ショッピングモールですれ違っただけで感染した例などはデルタでも報告されていました。機内での感染が起きた報告も以前からありました。

もうひとつ困るのが、新型コロナが普通の風邪ウイルスになったのではないかという考えです。これもまだ根拠がありません。