2013年1月10日木曜日

Gurdonの机の上

日本のマスコミのノーベル賞の報道は過熱しすぎるし、また世間や社会はノーベル賞受賞者を過大評価する。今回の生理医学賞はJohn Bertrand Gurdonとの同時受賞であるが授賞式の日に英国ではあまり報道されていないようだった。私はJohn Bertrand Gurdonの研究者としての生き方が好きだ。彼が劣等生だったという逸話がいい。

「中・高校のころ生物学の成績が250人中、最下位だったことがある。それでも、生物学に興味を持った。大学には他人よりも2年遅れで進み、生物学を研究 した。この経験から得られた教訓は、とても興味をひかれたものがあるなら、決してあきらめてはいけないということ。いったんあきらめると、後からやり直す のは難しい」

彼の机の上には額に入れられた成績レポートがのっている。担当の教官は「彼は科学者になりたいといっているそうだが、それはまったくばかげており、何かの科学ができるような可能性は皆無である」と書いている。これをいまなお飾っているのはなぜかと問われて答えた言葉がよい。
 
“When there are problems, like when an experiment doesn’t work, which often happens, it is nice to remind yourself that perhaps after all you are not so good at this job and the schoolmaster may have been right.”



 

付記:彼のノーベル賞受賞講演は思い出話ではなく最近の仕事をとてもわかりやすく論理的に話している。実験結果から考えるという姿勢が貫かれている。高度な実験結果について話しているのにわかりやすいは論理がはっきりしているからだろう。

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