2011年7月24日日曜日

never-say-die

正直、よほどのことがない限り米国に勝つのは無理じゃないかと思っていた。体格、スピードなどフィジカルが劣勢で、なにしろこれまで24戦で勝ったことがない相手だったから。でもある選手が「いいかげん、負け続けるわけにはいけない」と対戦前に言っていた言葉が印象的だった。

しかし、そのような状況にもにもかかわらず、なでしこの全員が懸命に献身的にパスを回し、チームワークで走り続け、実に執念のゴールを決めて同点にして、延長戦でまたリードを許し、後半でもうだめかという時に、澤が信じられない角度からシュートを決めて同点にして、PK戦となった。PKでは米国の最初のキックをGKがとめて勝てるような気がした。そして勝った。

ドイツとの試合前に監督は東北の震災のビデオを見せたという。ドイツのサポーターも日本を応援してくれていた。延長戦の後半の最後で岩清水がゴール前でボールを持ってフリーになった選手をタックルで倒してレッドカード退場となった。ロスタイムにゴールの真ん前でFKになった時はもうだめかと思った。でも彼女があそこで身を挺して止めていなければ負けていたかもというシーンだった。何回ももうだめかと思ったが、最後まで諦めなかった心が勝った。

2本のPKを止めたGK海堀の自然体のコメントがいい。「あんまり実感がわかないんですが、すごいことやったんですね。本当に信じられません。PK戦は試合で失点してしまったので、絶対止めてやるという気持ちだけで臨みました。アメリカはうまかったけど、それ以上にみんな頑張ったから優勝できたと思う」

技術的、体力的に劣勢でも気持ちで、心で勝ったのである。この感動のドラマのキーワードは「貧しさ、苦しさの中で、みんなで、あきらめない、折れない心、勝つという気持ち、笑顔、信じる」だろうか。その人生のドラマの瞬間を見ることができてほんとによかった。

このキーワードのようなことを英語でどう表現するかというと(ロイターの米国サイトにあった文章)、

The never-say-die team from Japan played their hearts out.
Japan played with awe-inspiring energy throughout the tournament.

澤のコメント訳
We had so much self-confidence all the way to the end and we all believed in ourselves all the way.

米国のエース、ワンバックのすばらしい言葉。
"Japan was playing with a very large 12th man; it's called desire and hope"
「日本には12番目にとても大きな人がついていた。その選手の名は〈あきらめない心です〉」

米国のGKのHope Soloのつぎの言葉もあった。(NY times)
“They’re playing for something bigger and better than the game,”“When you’re playing with so much emotion, that’s hard to play against.”
「彼女らはゲームをこえた、何か大きくてより良いもののために戦っている。そんなつよい感情を抱いたチームと戦うのは難しい」