ルイス・セプルベダ/河野万里子訳『カモメに飛ぶことを教えた猫』(白水社)を市民図書館で借りてきて読了。チリ生まれでスペインに住んでいたルイス・セプルベダはコロナで4月に亡くなってしまった。
「これまできみが、自分を猫だと言うのを黙って聞いていたのは、きみがぼくたちのようになりたいと思ってくれることが、うれしかったからだ。でもほんとうは、きみは猫じゃない。きみはぼくたちとは違っていて、だからこそぼくたちはきみを愛している」
「きみのおかげでぼくたちは、自分とは違っている者を認め、尊重し、愛することを、知ったんだ。自分と似た者を認めたり愛したりすることは簡単だけれど、違っている者の場合は、とてもむずかしい。でもきみといっしょに過ごすうちに、ぼくたちにはそれが、できるようになった」
「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ、ということ」
美しく、心が洗われる猫とカモメの物語だった。